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心霊

白と黒の旅人さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ガードレール
短編 2023/05/31 16:37 1,473view
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中部地方の辺りだったか、東日本を、1人で旅行した時の話。
この時は星が綺麗に見えるという山に登っていた。
午前中に着いていたので宿泊場所を確保した後、そのままの足で近場にあったその山の下見に行ったのだ。

地元の方に話を聞くと「あそこの辺りは結構角度きついカーブがあるから車で行くなら気をつけて。歩くにしてもちょっと危ないかもしれないけれど、道がちゃんとしているところだから歩いて登っていく人もいるよ。」
と教えてもらったので歩いて行くことに。たしかに山を登る登山家らしき人入るにはいるのだがテレビとかの特殊でやってる装備がっちりというより、虫とか対策に長袖着てカバン背負ってぐらいの持ち物。

私もアスファルトで舗装された道をてくてく歩いてた。

そうすると気づけば誰も周囲にいなくなっていた。
私自身山登りは地元に山がある都合で多分普通の人より慣れているし、そもそも歩くのが早いとよく他人に言われるので何人かほかの登山者を抜かしていたこともあり、おかしくはない。

ガードレールで歩行者を守るように作られた歩道を歩いていると前方にそれなりにキツいカーブが見えた。
勾配も比較的あるので登りにしろ降りにしろそれなりに速度が出そうである。

「これは確かに車で来なくて正解かな」と思っていると坂を登りきる前の所のガードレールが凹んでおり、そこに黒い「モヤ」が干された洗濯物のように引っかかっている。

「(黒いモヤってことは霊か…?)」とこれまでの経験から判断し、無視しようとした。
そろそろ真横を通るという時に、そのモヤの形に気づいた。
先程まではお腹の部分を折り曲げて前屈みたいな形でガードレールに引っ付いている変なやつかと思っていたのだが、よく見ると下半身らしき部分は道路側にある。そしてそれは歩道に背を向けてたっているようにも見える。
となると、いま歩道側にある部分は「上半身」つまり、この霊らしきものは腰の位置でほぼ180度、上半身が海老反りになる形で折れてしまっていることになる。

おそらく、ガードレールを挟んで車道側に立っていたのであろう。そこに車が突っ込んで来たことでガードレールに押し付けられた。正面から来た力は下半身はガードレールにぶつかることで逃げるが上半身はガードレールより上にあるためそのまま後ろに力がかかる。となるとそのまま上半身は本人がほぼ生きている状態で……

そう思った時、「気づいた?」と言わんばかりにそのモヤがこちらを見た気がしてその場を急いで離れた。
そして直ぐに別のルートで山をおりた。

宿泊先のテレビではその夜は曇りだと言っていたのでそれを利用して「今日は星が見えなさそうなので止めました」と行きに見送ってくれた従業員に言った。

しかし、その日の夜は天気予報に反して綺麗に晴れた。まるで「夜にまた来い」と言わんばかりに。

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コメント(1)
  • 怖い

    2023/06/02/11:06

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