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意味怖(意味がわかると怖い話)

新ぺぺぺさんによる意味怖(意味がわかると怖い話)にまつわる怖い話の投稿です

心霊トンネルでの殺人事件
短編 2023/05/17 17:04 2,351view
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 学生の頃、とある有名な心霊スポットに行った時の話です。その場所には、有名な心霊トンネルで、かつてそのトンネルがある地域を台風が襲った際に、木々が倒れてそのトンネルを塞いでしまい、分断された片方の側の村の親子が飢え、そのトンネルで遺体のなって見つかったというイワクのあるところです。
 そのトンネルには友達5人といった車で行きました。私たちは初めての心霊スポットにとてもワクワクし、来たるべき不気味な雰囲気を楽しみにしていました。ところが、そのトンネルについてみると、出回るネットの画像や、想像していたような雰囲気とは大きくかけ離れており、トンネルの端から端まで煌々とLEDライトが設置されており、また私たちの住む田舎にいがちな時代遅れのファッションセンスのヤンキーなどが数人屯しておりました。そんな雰囲気に私は呆れ、つい、
「なんだ、つまらない」
と呟いてしまいました。すると、友人が、
「まあまあ、いいじゃない。俺、少しビビってたし。」
そう言いました。そしてその友人は怖いから車に残るといい、私は内心、「ありがちな展開で怖がらせようとしているのか?」と思いながらも、友人間との雰囲気も悪くしたくないので、軽く同意し、その友人を車に残してトンネルの中へ歩を進めました。

 結局、ただ明るいトンネルを歩き、端で折り返して最初の場所へ戻ってきただけで、特にこれといった「恐怖イベント」もなく、私たちは車まで戻ってきました。

友人がいませんでした。

 数分後、「すまんすまん、小便してたわ!」
と、脇の木々中から現れた。
「全く大学生にもなってなんだお前は」
と私は言おうとしましたが、彼はあまり裕福というわけではない家で生まれ育ち、年の離れた既婚の姉は都会に出てしまい、誰も注意しなかったのだろう、まぁそのくらいのマナーはこの大学生活4年間でなんとかなるかと思い、何も思わなかったことにし、そのまま帰ることにしました。しかし、その帰り道、何故か妙にパトカーとすれ違うのです。1台2台、3台くらいすれ違ったでしょうか。私たちがトンネルを出発してからほんの10分ほど走ったところでのすれ違いです。私たちは当然になんだなんだと少し騒ぎましたが、逆方向に車を走らせているので、わざわざ野次馬に行くこともなくそのままそれぞれの家へと帰ることにしました。
 そうして次の朝起き、重い瞼を開けていつものようにスマホを手に取りラインなどを確認すると、心霊トンネルに行った友達とのグループが朝とは思えぬ盛り上がりを見せていました。しかも朝の3時半から何人かは寝ずに会話を繰り広げていました。何の話で盛り上がっていたかというと、昨夜行った心霊トンネルのことでした。その友人ら曰く、なんとその心霊トンネルでのある出来事がニュースになっているとのこと。慌ててテレビを付けると、いくつかのニュースの1つに中にそのような報道がありました。そのニュースの概要はどんなものかというと、
「ある風俗勤めの女性が、自分を気に入ってくれている男性から、生活苦を理由にそこそこの大金を借りていた。その借金は、その風俗店の店長に、お店の経営のために借りるよう言われたためにしたものであり、実際にお店の赤字補填のために使っていたとのこと。しかし、帳簿をごまかしていることが税理士などから指摘され、その男性にも連絡がされた。その男性は怒り狂い、早く返せと店舗に怒鳴り込みに行ったのだが、当の女性と店長は返す気もお金もなく、その男性を刺し殺してしまった。その遺体を山中のトンネルの上に位置する林の中に遺棄し、その件について足がついて捕まった。」

というものだった。詳しいことはネットの情報なども参考にニュースのことを書いたのだが、とにもかくにもその心霊トンネルのすぐ近くの林に死体が遺棄されたのは事実である。そして、何よりそのニュースを見ながら耳を傾けたのは、その女性と風俗店の店長が逮捕された場所である。彼らはその男性ををトンネル付近の山中に遺棄した後、女性は一定期間身を隠すため、またその死体を少しづつバラバラにして燃やすためにトンネルすぐ近くの空き家に居ついていたというのだ。その生活の支援とために店長が街から生活必需品を届けていたため、居場所が特定され、逮捕されただそう。

私たちがそのトンネルに行った日の明朝に。

つまり、私たちが心霊スポットがどうだとか言っている間も、空き家から私たちの様子を観察しながら殺人鬼のくせに法の裁きから逃れて隠れていたのです。
 その日、そんな殺人鬼のニュースを最初にラインした友達と学校で話し、早朝4時の速報ニュースが流れた時の衝撃と恐怖を散々語られました。私はすぐ次の体育の授業があるから早く外に移動しようと告げると、
「全身だるいからやりたくないなぁ」
と友人は言い、きっと寝てないから疲れが取れていないんだろうなと思い、軽く笑い、ともにグラウンドへと向かいました。
      

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