武勇伝・武勇伝

同窓会が終わってからの二次会。
ひと通り盛り上がった後の二週目突入の酒の席でのことだ。

当時は不良としてヤンチャしていた武志がいたので、
面白い話でも聞き出そうと思い、

「何か当時の武勇伝みたいなものないの?」と聞いてみた。

そしたら「そうだなぁ・・・武勇伝と言えば・・・」と、あることを語りだした。

当時高校３年で、みんなだいたい進路も決まった卒業間近という頃。
武志の不良仲間でもあった康夫がクルマの免許を取ったということで、
親父のクルマを借りて心霊スポットへ行こうという話になった。
同じくちょっとヤンチャな女子で美容師になると言っていた静香も参戦した。

３人はクルマで峠道に入り、暗いトンネルを抜け、１本の吊り橋に到着した。

「この先に祠があって、そこでお参りして戻ってくると、幽霊が出るらしいよ」と、康夫が説明する。

よーし、と気合を入れて吊り橋を渡る三人。辺りはもう暗くなっており、
クルマのライトを橋の方に向けて明るくして渡った。

すると橋の真ん中あたりで、OL風の女性が橋から下の川を覗き込んでいるのが見えた。

「せ、・・・先客かな?」

「ねぇ、変じゃない?」静香が言う。
「だってここ、私たちが来る前までほとんど真っ暗だったんじゃないの?そんな所でなにやってんの?」

「えっ、そういえば・・・」だんだん怖さが増してきて、女性の方を凝視する。

すると次の瞬間、女性が欄干によじ登り、じっと下を見ていたかと思うと、そこから飛び降りた。

「うわぁぁぁぁ」３人が叫ぶ。

ドボーンと水音がする。

「やっ、やったのか!?」

３人が駆け寄ろうとすると、なんと橋の上にまたOL風の女性があらわれた。

「うわぁぁぁぁ、出た!!」

それは飛び込み自殺をした女性の霊であった。何度も何度も自殺したその瞬間を繰り返しているのだ。

３人は泣き叫びながらクルマに逃げ帰って急いで山を下りた。

・・・・・・

武志の話を聞いて、オレはちょっと拍子抜けしていた。
まぁコワイ怪談にはちがいないが・・・