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不思議体験

んもげらさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

人面犬
短編 2023/04/06 20:33 1,014view
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高校生の頃のある日。

天気のいい春の真昼のこと。田舎に住んでいる私は駅から自宅までのなんでもない道を1人でのんびりと歩いていた。

特に何も変わりないなんでもない一日を終え、今日も普通だったなーなんてことを考えながら代わり映えのない日々に飽き飽きしていることを憂いていた。

私の住んでる田舎周辺は野生動物が多く、イタチやタヌキ、サル、コウモリなど様々でてくることは日常茶飯事なのだが

今目線の先に居る『それ』はどれとも違った。

『それ』は私から50メートルほど離れたところに居るように思う。四足歩行の小柄な『それ』がこちらを見てじっとしている。

距離が距離なのでどうしても顔面は若干ぼやけて見える。だが『それ』は犬や猫、タヌキやイタチとは違うということだけは分かった。

私はしばらく『それ』を眺め棒立ちしていた。『それ』も私を見つめてじっとしている。1分ほど経過した頃、『それ』はどこかへ走り去った。

なんだったのかは分からずじまいだが、特に害があった訳では無かったので、次の日から本当に何も影響なく過ごしていき、1年経つ頃には忘れていた。

大学1年生の頃のある日。その日も春の晴れた昼間だった。

『それ』は再び現れた。高校生の頃の『それ』と全く同じ場所で同じ姿勢で『それ』は私の前に現れ、こちらを見ていた。

だが前と違う点が1つ。明らかに前回よりも私との距離が近い。今回は30メートルほどの距離。前回よりはよく見えるようになったので、『それ』の顔面を凝視した。

やはり普通の野生動物ではないようだ。『それ』の目は黒く大きく、顔はのっぺりしており、口は狭く小さい。

だがまだ良く見えはしないので、なんなのかと言われたら表現できないような見た目だった。

『それ』は前回と同じように同じ方向に立ち去り、今回も何も私に対する害は無かった。

大学2年生の頃のある日。春の晴れた昼間。

『それ』はまた現れた。今回も、前回と違う点は距離。今回は10メートルの距離。もう顔面は見える。

『それ』の顔は人面と表現するのが1番適切だろう。イメージするならば、目はくり抜かれたような闇、鼻は粘土で作った様なのっぺりしたもの。口は唇のある小さなシワシワな口。

体はチワワかパグかと言うような比較的小柄なサイズで足長でもなく短足すぎもしない、痩せ気味の生物。それはその闇のような目でこちらをじっと見ている。

恐ろしい形相に驚きはしたが、存在としては見慣れたものなので、冷静に見つめ直した。『それ』はまた同じよう立ち去り、今回も何ら影響は無かった。

その次の年もその次も。『それ』は私の前に1年に1度春の晴れた昼間に現れた。少しずつ近づいて来ている。

もし今年も『それ』と出会うのならば、目の前に現れるのだろう。その遭遇は偶然なのか、必然なのか。

それは私との距離が0になった時に解るのかもしれない。

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関連タグ: #人面犬#犬#猫#田舎
コメント(2)
  • kamaです。好きです、こーゆーの。

    2023/04/06/20:46
  • 出会ったら教えて下さい。
    楽しみにしています、

    2023/04/07/00:26

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