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心霊

ねこじろうさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

不気味な同棲
長編 2023/03/21 16:23 7,348view
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年末の頃、会社の同僚で友人のM代から鍋パーティーの誘いを受けた。

正直、行きたくなかった。

でもM代とは同じ短大を卒業して、同じ建設会社の同じ部署に就職し、ちょくちょく一緒に遊んだりしていたし、彼女に関しては心配なことがあったものだから、行くことにした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆

私もM代も今年三十路になるが、未だ独身だ。

私にはかれこれ5年ほど彼氏はいないが、M代には去年まで「涼太」という同じ年の彼氏がいた。

茶髪の前髪を眉の上辺りで切り揃えた、いつも陽気で元気な男。

「去年まで」と言ったのは涼太は去年の末、電車に跳ねられ即死したのだ。

それは去年のクリスマスの夜、同じ会社で別の部署のS美とその彼氏、そしてM代と涼太という2組のカップルで一緒に遊んでディナーをした帰りに、駅のプラットホームで電車待ちをしていた時だったという。

4人ともかなり酔っていてホームでふざけあっている時、泥酔していてバランスを崩した涼太が間の悪いことに、列車が通過する寸前に線路に落下してしまった。

あっという間のことだったという。

涼太は通過列車に体ごとまともに衝突してしまう。

現場はかなり凄惨な状況だったそうだ。

一緒にいたS美が言うには、あちこちに血が飛び散り、涼太の体の幾つかのパーツが無造作にホームに散らばっていたらしい。

M代はひざまずき涼太の腕を胸に抱いて、狂ったように泣き叫んでいたそうで、それは正に生き地獄を見ているようだったという。

そのショックからM代の精神は病み、その言動は傍目からも常軌を逸するようになってきていて、ここ最近はずっと会社を休んでいる。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆

繁華街の外れにある古びたマンション。

外壁は薄汚れていて、あちこちヒビの入ったところがある。

その4階角部屋にM代は住んでいる。

すっかり日が落ち薄暗くなった渡り廊下を歩くと、私は406号室の前に立ちドア横のボタンを押した。

ピンポーン、、、

しばらくするとボタン下のインターホンから「はい」という声の後、「鍵開いてるから入ってきて」と続いた。

言われたとおりドアを開く。

玄関口には黒のパンプスとピンクのサンダル。そして男ものの黒のエンジニアブーツが並べてある。

薄暗い廊下に沿って幾つかの部屋が並んでいて、突き当たりにはリビングに続くドアがある。

「お邪魔します」と一声かけると靴を脱ぎ、廊下を真っ直ぐ進むとリビングのドアを開いた。

8帖ほどの部屋の真ん中辺りにあるダイニングテーブルには、既に鍋料理の準備がされていた。

奥のサッシ戸を背にして座るM代の姿が見える。

真っ黒い喪服のような服を着ており、黒髪はボサボサで化粧もしておらず、別人のようにげっそり痩せていた。

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コメント(3)
  • え?彼氏生きてんの?
    無敵じゃん。電車に勝つとかスゴいな

    2023/04/22/02:28
  • とんでもない世界に入り込んでしまったような怖さがありました。

    2023/05/07/17:16
  • よかったじゃん。彼氏生きてて。
    まぁ、俺も全身バラバラになる程度じゃ死なないからなー。

    2023/10/25/13:23

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