ホームレスから盗んだガラケー

ただホームレスの家を見学するつもりが窃盗を働いてしまったと、布団に入るなり罪の意識に苛まれた。
これじゃあホームレス以下の犯罪者じゃないかと自分を咎め、今度またあのホームレスが外出の時にでも黙って元に戻しておこうと考えた。
馬鹿な俺は現物さえ元に戻せば、自分の罪も無くなると思ってたんだ。

だが、翌朝のこと。
ガラケーの中身が気になった俺は充電器を買い、電源が入るか試すことにした。
好奇心に勝てず、ホームレスがガラケーに何を保存しているのかどうしても見たくなった。

充電器を差すとランプ？が点いたから生きているようだ。
電源を入れると時間はかかったが普通に起動した。
さてさて、どんなものを保存してるのかな？
どうせエロ画像とかだろうなと思いながらデータフォルダを開く。
案の定、エロ画像がいっぱい保存されてた。
エロ動画なんかもあったが、一昔前の機種だからか画像も動画も今と比べると格段に画質が悪い。

まあ、見れないレベルではないが、やっぱホームレスもこういうの見て発散してるんだなと思うと、笑えてきた。

ジャンル的にはＯＬや女子高生ものが多かった。

そのままフォルダを漁っていくと、フォルダの中にまた別のフォルダがあった。

タイトルは『２０ＸＸ年〇月〇日』という年月のみ。
何だろうと思って中を開くと、サムネイル越しにもわかる異様な画像が盛りだくさん。
ゴクリと唾を呑み、緊張した指先で操作ボタンを押すと、一枚の画像が表示される。
手足をロープで縛られた小学生の男の子？らしき人物の画像だった。
口もガムテープで塞がれてたが、その子の顔面、特に右頬とか右目あたりは殴られたように膨らんでて、明らかに犯罪臭のする画像だと分かった。

「なんだコレ、やっべえ…」

次に、一つ下の画像を開いてみる。
さっきの男の子が横になり、丸まってる姿が映されている。
撮影場所は車の中のように見える。

車の後部座席、それもワゴンのような広いシートの上に拘束された男の子が横になり、若干車の窓枠らしきものが見切れていた。

その他の画像も暴行を受けたような男の子の写真が続き、俺の精神はその痛々しさを前に汚染されていく。
それでも次へ次へとフォルダを掘り進めていくのは怖いもの見たさだろうか。

だが、次の画像を開いた瞬間、俺は口元をおさえた。

男の子の首が切断された画像だった。
目とか半開きで虚ろな感じ。
舌も零れ落ちるような感じで、とにかくグロかった。
思わずガラケーの十字キーみたいな所を押してしまい、次の画像にいってしまった。
次の画像は中学生くらいの女の子だった。
男の子と同じように車内で拘束されたような構図。
俺は嫌な予感がした。
だから見なかった。