回り出した時計

あれは今から10年以上前の話しになります。

当時、キッズチアダンスの講師をしていた私は、子どもたちのサマーキャンプの引率で山梨県にある合宿所のようなところに行きました。
よくある、宿泊施設の横に体育館が併設されている何の変哲もない合宿所。私たちは古くも新しくもない和室に講師3人で泊まりました。

到着してお昼ご飯を食べ、その後はいよいよダンスの講習会の始まりです。
夕飯を済ませ、レクリエーションを受け、子どもたちのお風呂と就寝のお世話をバタバタと終わらせ、講師陣もやっと部屋に戻る事ができました。

私たちもお風呂に入り、片付けをしながら楽しくおしゃべりをし、明日も朝から仕事だからそろそろ寝ようと話していた時、何か視野の隅に違和感を感じ、そちらの方向を見ました。すると目を疑うような光景が…！！壁にかけられた時計が反時計回りで物凄い勢いで回り続けているのです。

恐怖のあまり声も出ず、隣にいた講師の腕を引き時計を指差すと彼女たちも時が止まったかのような表情をし、二人で抱き合って『キャー！！！！』と叫びましたら。叫び声を聞き、同部屋のもう一人の講師も洗面所からこちらに来ましたがその時にはもう時計は何事もなかったかのように止まり、時間通りに時を刻んでいたのです。時計は普通の電池を入れるタイプの時計。それが勝手に、ましては反対周りに動くなんてありえません。

翌朝、サマーキャンプの主催者に昨晩の出来事を話しました。もう何年もその合宿所でサマーキャンプを開催しているけど、今までにそんな話は聞いたこともないと。ただ、同じキャンプに参加していた他チームの子どもたちが私たちに奇妙な出来事が起こった昨夜、そのチームの講師に、だれかが外から見ていると話してきたそうです。私たちの出来事と何か関係性がありそうな。

それから帰るまで特に奇妙なできごとは起こらず、参加者全員が無事に帰宅する事ができました。解決することのないあの出来事は一体何だったのでしょうか。。。