知らない声

これは父が亡くなった時の話です。

10年前に父が亡くなり、お通夜までの間家で家族や従兄弟と過ごしていました。親戚が続々と家に来るので挨拶をし、夜になって一息ついたのでご飯を食べていた時です。

隣の部屋から男性数人の話し声がかすかに聞こえてきました。昼間親戚のおじさん達が話していた部屋だったのでまだ帰ってなかったんだなと思いましたが、時刻は夜9時でおじさん達がまだいるとは思えません。

しかも隣の部屋といっても壁は薄いので、聞き耳を立てれば話の内容は聞こえてくるはずなのですがどんなに集中して聞いても何の話をしているかわかりませんでした。おかしいな、と思い「あれ？おじさん達まだいるの？」と従兄弟に聞きました。

すると、「あ、聞こえる？これ違うよ」と。

違うとは何なのか聞かなくてもわかりました。生きている人の声ではないのだとわかると途端に怖くなりました。

その後もゴトゴト、ガチャガチャと色んなラップ音が聞こえ気味悪く、一人で寝るのが怖くなり従兄弟と一緒に寝ることにしました。

お葬式が終わって数ヶ月は物音や話し声が聞こえ、とても怖かったです。

そして昔から人の声や物音が家中から聞こえていましたがそれはみんな聞こえているものだと思っていましたが、私しか聞こえないものとも知りゾッとしました。