ひいおじいちゃんと飼い犬

これは私が母から聞いた、ひいおじいちゃんと飼い犬の話です。

私が物心ついたときには、ひいおじいちゃんは他界していたため、どんな方かは知らないのですが、とにかく優しい方だったそうです。

ひいおじいちゃんは一匹の犬を飼っており、大変可愛がっていました。

飼い犬もそんなひいおじいちゃんが大好きだったのか、首輪をつけていなくても、ひいおじいちゃんの後ろをよくついていきました。

また、ひいおじいちゃんが帰ってくる時間になると、いつも玄関で帰りを待っていました。

そんなひいおじいちゃんと飼い犬ですが、散歩のときはきまって郵便局の前を通っていました。

知人の多かったひいおじいちゃんはよく郵便局を利用しており、郵便局の手続きの間も飼い犬は郵便局の外で大人しく待っていました。

ひいおじいちゃんが他界してすぐのこと、飼い犬が突然いなくなりました。

家の近くを探しても見つからなかったのですが、似ている犬がいるとの情報がありました。

その場所は、郵便局の前。

ひいおじいちゃんが帰ってこないので、飼い犬は自分で郵便局まで行って、ひいおじいちゃんのことをずっと待っていたのです。

なかなか家に帰ろうとせず、なんとか家に連れて帰っても玄関の前でひいおじいちゃんの帰りを待ち続けていました。

そしてその後、ひいおじいちゃんの後を追うようにして天国に旅立って逝ったそうです。