体育館の鏡

私が小学生の頃の話しです。

私の通っていた小学校は住宅地の近くにあり広い道路に面している為、比較的通学に安心して通える学校でした。
学校は地区内では大きい方で、規模も各学年5クラス近所でもマンモス校と呼ばれていました。

　そんな小学校ではわりと有名な学校の怪談がありました。
それは、体育館の鏡を１０秒見つめる。これを3回繰り返すと子供の顔が見えるという噂です。

鏡は体育館の正面舞台横にある全身鏡でした。なぜこんなところに鏡が設置されているのか分からず、一度先生に尋ねたことがあります。
昔ダンスの練習などで使えるように設置したのではないか、と先生は答えていましたがよく知らない様子でした。
とてもダンスの練習に使えるような大きな鏡ではなく、ひと一人用の鏡くらいのサイズ感です。

　どうしてそのような怪談話があったのかは分かりません。ただ、学校では有名な話でした。

私は入学してすぐ友達からそういった噂を聞きました。
その友達は、同じ小学校に通う兄弟がいたので、そこから知ったのではないかと思います。私はそういった噂が苦手なので、実際に試すようなことはしませんでした。

　月日が経ち、小学6年生になり、自分たちの卒業式を終えた日、体育館でそれぞれ記念写真を自由に撮影していました。
それぞれ胸に花を挿し、仲の良いグループ同士で撮影をしていました。何気なく先生に写真を撮ってもらい、後日友人と写真を確認していた時でした。

一枚の写真にあの鏡が写っていました。その鏡に、その時いるはずのない子供の顔がうっすらと写っていたのです。
子どもはぼんやりとしたシルエットで男の子のように見えました。それを見て友人たちと青ざめました。

　後から聞いた話しだと、友人の数人が面白がって噂話を実践していたとのことです。
もう卒業だし本当に何か起こるはずがないと面白がってやってみたともことでした。

実際に3回目に見つめた後は何も見えなかったそうです。
まさか後からこんな不気味な体験をするとは、誰一人思っていなかったことでしょう。