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心霊

takeさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ラジオからの声
短編 2023/01/23 21:22 918view
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母方の叔父から聞いた話です。
夏休みのある夜、深夜ラジオをかけながら本を読んでいた時のことです。
聞き流していたラジオのDJの声が、突然途切れ途切れになり始めました。

電波状況が悪くなったのか? とアンテナの向きを変えたり、ラジオの位置を移動してみましたが、
どんどん音声は聞こえなくなり、ノイズ音が大きくなるばかりです。
チューニングを変えてみても、どこの局にも合いません。

故障かな、と思い電源を切りかけた時、ノイズ混じりに人の声が聞こえてきました。
それは女性の声で、徐々にノイズ音が小さくなり、音声がはっきりしてきました。

内容は、付き合っていた男の人に捨てられた、悲しい、といった内容で、
視聴者からの失恋相談のハガキでも読んでいるのかと思いました。

しかし、聞いているうちにそれは話している女性本人のことを語っているようだと気づきました。
選局指針はどこの放送局にも合っていません。
なんだこれ? たまに外国の電波を受信することはあるけど、これは日本語だし……アマチュア無線の電波を拾っているのか?

そのうち『悔しい』『憎い』『恨んでいる』『死ねばいい』『殺してやりたい』などと物騒なことを言い出しました。
この人、大丈夫か? と思っていると、テーブルか何かをバンバン叩きながら、
『この世の男たちが憎い、全員消えてしまえばいい』とエスカレートし、

『死ね、死ね、死ね! まず、これを聞いているお前を殺しにいく!』と金切り声を上げ始めたので、
慌てて電源を切り、念の為にコンセントも抜いたそうです。

「それ幽霊? それとも生霊?」
私が訊くと、
「どうかなあ、いきなりラジオの調子がおかしくなったから霊的なものだと思うけど」

叔父は霊感体質ですが、死者の念のようなものは感じなかったそうです。
「生霊だったとしても無線だったとしても、死者より生きている人間の方が厄介だからなあ」
そう言って、肩をすくめたのでした。

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