金色の乗り物

怖い話ではないのですが、印象深かったので投稿してみます。
実家のマンションは１５階建てです。
空を飛ぶスズメやハト、季節の小鳥たちを真下に見下ろし、地上から見る景色とは全く逆の世界を楽しめます。
上空をたゆたう雲は限りなく近く、ほんの少し近づけば手が届くのではないかと、子供心に思ったものでした。
そんな高層階だからでしょうか。
未知との遭遇を体験することが多々ありました。

小学校５年生の頃です。
東の空からそれはやって来ました。
バチバチバチという金属音のような音を立てて近づいて来ます。

初めは飛行機かと思いましたが、えらく横に広いのです。
それは金色に輝き、磁力や電磁波を出しているような感じでした。
どこか荒々しい気を放ち、悪いものではない気配ですが、あえて関わってはいけないと自分の直感が告げていました。
私はベランダから流れ星を見つけたかったのに、まさかのUFO出現です。

ただ、不思議なのは、あれだけ大きな音を立てて飛んでいるのに見ているのは私だけで、他の住民は誰一人として見ていないのです。
翌日、学校で噂になっているかとワクワクしながら登校しましたが、誰一人として話題に出しません。
もしかして、夢だったのかと思いました。

数日後、またあのUFOが西の空から現れ、東の山の方に飛んで行きました。
やっぱり夢ではなかったと確信しました。