お墓参り

これは私がまだ幼かった頃のお話です。
幸いにも私たち家族の中で不幸が起こることはなかったのですが、親族一帯で立て続けに不幸が起こるようなことがありました。ある人は大病をし、ある人は事故に遭い、またある人は精神を病んでしまうなど、一つ一つを見れば誰にでも起こり得ることではあるのですが、それも短期間に連続してとなれば多少気味も悪くなるというもので、祖母が大変怖がっていたというのをよく覚えています。

そこで祖母は一度、近所でよく当たると有名な占い師の元を尋ねることにしました。
祖母が入ってきた瞬間、占い師は少々顔を歪めて「今、身内に色々と不幸が起きていませんか？」と聞いてきたそうです。祖母は驚きながらも「そうです、その件で今日は相談に来ました」と答えると、占い師は納得した様子で大きく頭を頷かせ、次にこう語り始めました。

「今すぐにお墓参りへ行ってください。墓石が倒れた状態で放置されているので、ご先祖様が怒っているんです。それを直してちゃんとお参りをすれば、きっと許してくれるはず。あなたを悩ませている事柄も、収まると思いますよ」と。
あまりにも突拍子のない解決方法だったこともあり祖母は半信半疑の状態だったようですが、他に縋る場所もなく、次の日には占い師の言いつけ通り墓参りへ行きました。

するとどうでしょう、占い師の言う通り本当に墓石が倒れているではありませんか！同行していた男性陣が急いでそれを直し、水を掛けて綺麗に磨き上げ、お供物をして両手を合わせ、お参りに必要なことの全てをしてその日は引き上げることとなりました。どうかこれで収まってくれ、そう祈りながら……。

そしてその日以降、親族内での不幸は嘘のようにぱたりと止まり、順調にことが運ぶようにもなりました。時々この話を思い出しては、墓参りの大切さを再認識させられます。