奇々怪々 お知らせ
           
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不思議体験

プールの底
短編 2021/02/26 18:37 742view
皆さんは、流れるプールに入ったことがあるだろうか。長いコースがあり水の流れが作られていて、入るとずっと流されるあれだ。
文章にすると何が面白いのか分からないが
私は好きで、見かけると必ず入ってしまう。
これは、そんな流れるプールで体験した話である。

ある日のこと、私は頻繁に通う市民プールで流れるプールに入っていた。大きめの浮き輪を持ってきて水の流れのままに流され、たくさんの人を見ながら浮かんでいる。そんな時間が私は好きだった。とその時、何かぐにゃりとしたものを踏んづけてしまった。
人を踏んだような感触だった。
人がプールの底に沈んでいる…?
そう思った瞬間、いきなり両足首をものすごい力で掴まれた。幸い浮き輪に掴まっていたため沈まずに済んだが、危うく溺れるところだった。掴まれた私はその場に固定され、人の流れを堰き止めてしまった。
他の利用者が怪訝そうに私の顔を見ながら流れていく。焦った私は足を強く振り、振り解こうとした。ところが、どれだけ振っても全く緩みはしない。
おそらく一緒に来ていた友人だろうし、悪質な悪戯の報いを受けさせてやる。私は相手の息が切れ、浮かび上がってくるまでしばらく待つことにした。

何分かが経った。どうもおかしい。ここまで息はもたないはず。それに、水の流れがあるのに微動だにしないのはどういうことだ?
そう思った私はゴーグルを着け、水の中を覗いてみた。
底には、人のような何かが這いつくばり、私の両足首をしっかりと掴んでいた。
真っ白な肌で全身に小さな穴が空いている。
顔は酷く爛れており、目と口を大きく開けているが、目や舌があるはずの場所には、ただ暗い穴が空いていた。
見た瞬間、全身の毛が逆立った。

私は慌てて水から顔を出し、必死で足を振った。先程とは比べ物にならない力が出たようで、どうにかあれを振り解くことができた。
すぐにプールサイドに上がった私は、近くにいた係員に声をかけ、あれがいた場所を見に行った。
しかし、再び底を見ても何もいなかった。
係員から疑いの目を向けられた私は、自信がなくなってしまった。
結局何も見つからなかったため、諦めた私は謝罪し、早々に家に帰ることにした。

帰宅し、風呂に入ったときにふと見ると
私の両足首には、赤黒いアザがくっきりと浮かび上がっていた。
両足首を掴まれたとき、浮き輪に掴まっていなければ溺れさせられていただろう。
プールの底には、人を引き摺り込もうとする何かが潜んでいるのかもしれない。
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