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呪い・祟り

Tamiyoさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

犬鳴ではなく猫
長編 2022/12/18 17:03 4,685view
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私は福岡県に住む40代男性です。
福岡には日本でも有数な心霊スポットである旧犬鳴トンネルがあります。あまりにも有名であるため映画にもなり、全国的に存在が知れ渡りました。
旧犬鳴トンネルが福岡の中で心霊スポットとして扱われるようになったのは、1988年頃に実際に起きた焼殺事件が原因とされています。詳しい内容はネットでも検索できるので内容を知りたい方は調べてください。この事件を境に旧犬鳴トンネルは若者の間で噂になり、いつしか、自動車免許を取った際の通過儀礼の場として、若い人たちが集まるスポットのようになってしまいました。ただ余りにも有名になったせいか、当時はいつ旧犬鳴トンネルに行ってもギャラリーが多く怖いというよりも賑やかな雰囲気でした。
しかしいつからか旧犬鳴トンネルを管理する宮若市が立ち入り禁止地区にしてしまい、今ではゲートが張られ、トンネルの入口にすら行くことができないようになっています。

ここまでは犬鳴トンネルについて書かせてもらいましたが、ココからが本題となります。

実は福岡県民も殆ど知らない、地元の人たちにしか広まっていない心霊スポットが犬鳴峠の近くに存在しているのです。
その名も『猫峠』。
決して犬鳴峠に対抗してのネーミングではないらしいのですが、本当に近くに存在しているのです。

私が猫峠の存在を知ったのは、面白半分で旧犬鳴トンネルに大学の友人と遊びにいった際、そこで女性二人組に遭遇し、そのうちの一人が、『近くに猫峠というのがあるけどそっちはマジでヤバいから行かない方がいい』と教えてくれたのがキッカケでした。

猫峠の語源は、山の高い所という意味である『峰の高い所』の『み”ネ”の高いと”コろ』の『ネ』と『コ』が使われたという……少々強引な感じではありますが。

「女の子の首が木に挟まっている」「中学生くらいの男の子が追いかけてくる」などの噂のある場所だそうでした。

ネーミングのルーツこそギャグのようであるものの、実際に峠を車で走ってみるとその怖さは肌で実感できました。
わたしは昼過ぎの14時くらいに猫峠を車で通ってみたのですが、昼間とはいえ薄暗かったことを記憶しています。対向車はほとんど走っておらず2、3台すれ違った程度でした。途中には民家もあり人気が全くないということはありませんでしたが、それでもどこか不穏だったのは霊感が全くない私でもわかりました。そして更に車を走らせると水子供養のお寺が見え、更に不気味な雰囲気が増しました。
 しかし、この時は嫌な感じはしたものの、特に何も起こらず峠を抜けることができました。

そしてその数日後、この事を当時やっていたバイトの先輩に話しました。面白がった先輩はすぐに一人で夜の猫峠に行ったらしく、私は先輩から『すごく不気味だった』との報告をもらいました。しかし、その先輩にも、特に何事も起こりませんでした。

しかし、それから1か月ほど経った頃のバイト中、先輩は真っ青な顔をして私にこう尋ねました。
『あの猫峠って、いわくとかあるの?』と。
様子のおかしい先輩を詳しく問いただすと、友人が猫峠に向かったまま失踪した為に警察が捜索している、ということが分かりました。
猫峠が気に入った先輩はその友人にもこの場所の存在を教えたそうです。そして、友人は夜中に1人で猫峠に車で向かい、そのまま行方が分からなくなったのだそうでした。

先輩が話してくれてから1ヶ月ほどの後、その友人の車は猫峠から少し離れたダム付近の草むらで見つかりました。ただ不思議なことに、ガードレールがある為に車が草むらに入ることは通常不可能らしく、どうやってその場所に車が辿り着いたのかは分からなかったそうでした。

しかし、車の中に友人の姿はなかったそうです。更に警察が言うには、助手席からは女性のものらしき長い髪の毛が発見されたそうでした。しかし先輩曰く「あいつは彼女などいないどころか女性全般に縁がない、助手席に女性が乗っていたなんて考えられない」ということでした。

結局、見つかったのは車だけで、先輩の友人は行方をくらましたまま数年が経ちました。

私自身もこの話を忘れかけていた頃、偶然にも街で先輩にあいました。その時はお互いの連絡先を交換しただけで終わりましたが後日に先輩からメールが入り久しぶりに一緒にお酒を飲むことになりました。

はじめはたわいもない話で盛り上がっていましたが、急に先輩が思い出したかのように猫峠で行方不明になった友人の話をしだしたのです。
結局その友人は今も見つからず、そして、助手席に残されていた髪の毛の主も発見されていないのだそうでした。

そして先輩は衝撃的なことを口にしました。
実は、行方不明になった友人には双子の弟がいたのだそうでした。弟さんは友人が姿を消す数ヶ月前に交通事故が原因で重体となり、意識が回復しないまま入院を続けていたそうです。
しかし件の失踪の数か月後、弟さんは母親がいる前で突然に上体だけを起こし、近くにあったメモ用紙に『いぬなきにいる』と書き、その数時間後に息を引き取ったそうでした。

その事実を友人の母親から知らされた先輩はそれ以来、猫峠はもちろんのこと、犬鳴峠にも近づかないようにしている、と語っていました。
双子の弟さんが息を引き取る前に書いたメモがもし友人からのメッセージであるとすれば、今も彼は犬鳴峠のどこかにいるということになります。私は仕事でよく新犬鳴トンネルを利用しているので、トンネルを通過する度この出来事を思い出してしまいます。

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コメント(2)
  • 映画を観たので更に怖くなりました。

    2022/12/19/03:34
  • 心霊スポットに行く(行こうとする)と言う行為自体があちらさんに呼ばれていると聞いた事があります。
    ですから投稿者さんの見かけた女性二人はあちら側の方だった…可能性もありますね。

    2023/04/09/04:22

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