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心霊

神助さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

トンネルを徘徊する親子
長編 2022/12/02 21:54 3,375view

これは私が二十代の夏に本当に体験した出来事です。

夏の休暇を利用していつものメンバー6人組でK県の民宿に泊まりに行く事になった。
私、K、Mちゃん、S君、Yちゃん、H。車2台体制で出発、2時間半程走らせて今回の宿泊地に到着。
そこは海沿近くの民宿で昼間はビーチで遊び、夜は海鮮料理。夏を満喫するには最高の場所だった。

夕方に差し掛かりビーチで遊ぶのも飽きてきた頃。メンバーの一人Mちゃん(男性です)がこんな提案をしてきた。
「今夜、花火やろうぜ。そんで、ロケットランチャーで打ち上げよう!」
え、マジか!?
Mちゃんは自衛隊員なのでそういう系の取り扱い資格を持っている。
ぶっ飛んだ提案にびっくりしつつも何か面白そう!メンバー全員テンションも上がっており、満場一致で実行する事に。
でも、ここで一つ問題が…。打ち上げるにはその海岸の漁業協同組合の許可が必要だ。
(※さすかがに許可無しにどこでもかしこも出来ません)
メンバーで話し合い民宿の女将さんに相談する事に。
すると女将さん、「ああ、じゃあ知り合いの組合員の人に聞いてみるよ」と。
漁業協同組合の人に連絡を取ってくれて何とOKが出た!現代だったらあり得ない展開だが当時はゆるかったのだろうか??

兎も角、許可が下りたので花火を大量に買い込みに出かける一同。これでもかと言うくらいのかなりの量を買ってきた。そして完全に日が落ちるのを待った。

夕食も終わり、時間は午後9時を回った。
女将さんに指定の海岸までの行き方を聞きいざ出陣!民宿から海岸までは徒歩10分程度だったと思う。
途中400メートルくらいあるトンネルを通って行く。街灯は殆どなくあたりは真っ暗。そんな事はお構いなしに気にせず進む我々一行。
すると前方に、女将さんが言っていたトンネルが見えてきた。Kが言った。
「お、あのトンネルじゃない?女将さんが言ってたやつ」
このトンネルを抜けたら目的地だ。
「もうすぐだね」

薄暗い夜道のなか6人でガヤガヤ楽しそうに話しをしながら歩く。トンネル内に入ると、トンネル特有のひんやりした何とも言えない空気が漂う。真夏の火照った体には少し心地が良い。目的地が近いのもあって更にテンションが上がる一行。
その時、おそらくここにいる全員がほぼ同時に気づいたであろう…前方からこちらに向かって誰かが歩いて来ている。
しかも二人。見るとお母さんと小学校低学年くらいの男の子だ。
「こんな時間に…」
時刻は10時近くになっていた…少し不思議に思いながらも誰もその事については触れない。一歩、二歩、段々近づいてくる。
その時私はその親子がぼんやり光っている事に気づいた。なにかおかし…
それでも誰も止まる気配はなくどんどん前へ進む。みんな、気づいてるよね!?そう思いながら私は出来るだけ親子を見ない様にした。

そして、トンネルの丁度三分の一の地点まで差し掛かったあたり。

ついに親子が近づいて来た。
すれ違う瞬間、
「ブワーッ!!」
とその親子から謎の風が吹いた!!
「えっ!!」
私はハッとなって振り返る! 見ると、さっきすれ違ったばかりの親子がトンネルの一番端、私たちが入って来た入口付近にいるのだ!
しかも、振り返ってこちらを見ている!
「なぁ、なにあれ!?」思わずHが口にする。「さっきすれ違ったよね?」
トンネル入り口までは70メートルくらいありそうだ。そこまでわずか1秒足らずで行くなど人間には不可能。
「何?どうしたの??」とMちゃん、K、S君、Yちゃん。
どうやら私とH以外は話に夢中で親子の瞬間移動に気づいてない様だった!状況を説明するとMちゃんが
「嘘だぁ~!そんなんある訳ないじゃん」と。
HはそんなMちゃんに「ならもう一回あの親子の近くに行ってみよう」と。
私は不安に思いつつも、帰るにしても結局元来た道を通らないといけないのは重々承知だったのでHのいう事に特に何も言わなかった。
他のメンバーも半信半疑と言った感じでそれに従った。

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コメント(1)
  • ロケットランチャー?

    2022/12/03/20:22

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