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妖怪・風習・伝奇

いももちさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

焼き銭
短編 2022/11/23 22:15 1,416view

私の生まれた地域には「焼き銭」と呼ばれる風習があります。

亡くなった方を荼毘に付す際に、棺のなかに花と一緒に小銭を入れるのです。

焼き銭には決まりがあり、10円玉しか入れてはいけないことになっています。

1円や100円や500円は溶けてしまうから駄目。
5円玉はあの世に”ご縁”ができるから駄目。
三途の川の渡り賃なので、亡くなった方が向こうで困らないために入れると聞きました。

この焼き銭は納骨の際に集められて、参列した人たちにお守りとして配られます。

亡くなった方と一緒焼かれたものなんて怖いような気もしますが、特に年配の方たちは焼き銭を入れるための小さなお守り袋を縫ったり、綺麗な千代紙に丁寧に包んで大切にしています。

子どもの頃に自販機のお釣りとして誰かの焼き銭が出てきて怖くて触れず「どこの罰当たりめがやった!!」と怒った祖母と一緒に神社のお賽銭箱に納めにいったこともあります。

今では私も財布の使わないポケットに親戚の焼き銭をお守りとして入れ持ち歩いています。

全国で一般的に行われている風習と思っていましたが、違う地方の出身の友人達は誰も知らず、お互いにとても驚きました。

このサイトをご愛読されている皆さんのなかにも同じ風習をお持ちの方はいるかな……と思い投稿させていただきました。

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コメント(2)
  • 祖母が亡くなった30年ほど前ですが、M県某所でも
    棺の中、故人の枕元に硬貨を入れた巾着袋を置いて火葬するという事をやっていました。
    やはり三途の川の渡り賃という名目で。
    でも意図的に貨幣損傷をすると法律で罰せられるので公にはしておりません。
    そこは10円のみではなく、100円も500円もありました。
    焼かれた小銭を持ち帰ることはせず、骨壷に一緒に入れていた記憶です。
    日本国内から硬貨が数十枚消えたんだな、という意識でした。

    2022/11/23/23:57
  • コメントありがとうございます。
    いももちと申します。
    きっとおばあ様と私は同じ県の出身ですね。
    儀式だからいいんだよと聞かされていましたが、確かに違法行為に変わりありませんね。
    いつかなくなってしまう風習かもしれません。
    貴重なお話をありがとうございました。

    2022/12/03/08:41

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