物質伝送装置

とある天才科学者が、世紀の大発明「物質伝送装置」を開発した。

分かりやすく言うと漫画に出てくる「どこでもドア」のようなものだ。

漫画と違うところは、出口となる場所にも同型の装置を置く必要がある所だ。

だが、世界中にこの装置を設置してしまえば、東京からアフリカに、

アフリカからオーストラリアにと、物も人間も一瞬で伝送できるようになる。

もはや船も飛行機もいらない。

貿易格差もなくなり、貧しいところへ富の再分配も楽に行える。

世界は平和的に、平均的に豊かになって行くことだろう。

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「よし、それではこれから最終実験を行う」

博士が説明を始めた。

「こちらにあるPod-1号機から、隣に置いたPod-2号機まで、人間を伝送する。

ナニ、心配することはない。これまで100匹のビーグル犬を使った伝送テストで、

100匹すべてが成功している。完璧だ。全く問題ない」

居並ぶ関係者たちを見回しながら博士は続ける。

「・・・わかっておる。それでも人体実験のようで怖いというんじゃろ?

だから、この実験はワシがやる。みんな、その目で世紀の瞬間を目撃したまえ!!」

博士が物質伝送装置Pod-1に入り、ドアを閉める。

次の瞬間まばゆい閃光が走る。

そして、光がPod-1からPod-2へ動いた!

恐る恐るPod-2のドアを開ける助手たち。

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「ワンワンワンワン」

それは、101匹目のビーグル犬が誕生した瞬間だった。