化かされた

もう何年も前の話です。当時私は小学校高学年か中学生ぐらいだったと思います。祖父母が祖母の実家の方に、祖父の友人と3人で旅行に行きその時に起きた不思議な体験を教えてくれました。

祖母の実家は田舎で隣の家とは田んぼを２つ３つ挟んだ距離にあるようなところで、街灯などもとても少なく夜になると真っ暗になるそうです。近くにはご飯屋さんなどもなく、車で大きい通りまで出て晩御飯を食べた帰りにその不思議な体験は起きたそうです。

街灯も少なく、頼りになる灯りは車のライトのみ。道は簡単な道で祖母の案内にそって車を走らせていると墓地が見えてきたそうです。祖母が、「その奥の橋を渡って左に曲がって。」と言うので曲がってまっすぐ進むとすぐに道が出てくるはずなのにしばらく行っても出てこない。道を間違えたかな？と不思議に思っていると、見覚えのある墓地と橋がまた出てきたのです。同じ道？そんな馬鹿なと思いながらも回ってきてしまったんだと納得させもう一度、今度はしっかり確認して曲がったそうです。ですがまた見覚えのある墓地に帰ってきてしまうのです。

そんなことを3度繰り返し、祖母がふと祖母の父に言われた事を思い出したそうです。狐や狸に化かされている時はタバコをつけるといいと。本当に化かされているかはわからなかったけれど、祖父のタバコをつけ窓から出してまた同じ道を行ったそうです。そうすると目的の道はすぐに出てきて、やっとその謎のループから解放され、実家に戻ることが出来たと言っていました。田舎で起きた不思議な話です。