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呪い・祟り

神助さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

人に憑く神社
短編 2022/11/19 01:35 4,196view
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今から20年近く前の話しです。東京都のH市のアパート。そこに一年間だけ住んでいました。

引っ越してまだ2ヶ月かそこら、その日はバイトが休みだったので探索も兼ねて散歩に出かける事にしました。

天気が良く散歩には丁度いい五月晴れでした。目的も無しに歩くのも詰まらないので地元の神社を目標に歩き出した私。

アパートを出て僅か10分、割と大きな立派な神社が見えてきました。境内を覗くと参拝客と宮司さん。ごく普通の神社。ここで私は何故だかこう思ってしまった。

「何か普通過ぎて詰まらないな。もっとマニアックな神社ないかな」

そして違う神社を探す事に。この行動が後にあんな事態を招くとはこの時の私は知る由もありませんでした。

駅付近からどんどん遠ざかり地元の人しか通らない様な道。脇に家も建っていない石垣と竹林の坂道があった。

「お、何だかいい感じ」

そんな呑気な事を思いながら坂道を登っていく。すると前方右側に更に小道が、その先にはなんと小さな神社があった。一瞬怖いなと思いながらもズカズカ境内へ。

祠の目の前に来て見るとお賽銭がいくらか入っているのが確認できた。「へ~、ちゃんと参拝客いるんだ」なら大丈夫だな、という謎の理屈で参拝する事にした。

ガランガラン。誰もいない境内に鈴の音が鳴り響く。「いい事あります様に」他愛もないお願いをし神社を後にした。

アパートに着き、日頃の疲れもあってかまだ14時にも関わらず、私は眠ってしまっていた。

ウトウトし始めて何分たっただろうか。「カチャン!」玄関ドアが開く音が聞こえた。「!!私は焦った!

鍵は確かにかけた、ドアチェーンも、、、、。そして枕元に誰かが立っている事に気づく!

真っ黒な着物、ボサボサの髪。顔はよく分からない。男性なのか女性なのかも分からない。ただ一つ分かるのは「この世の者ではない」直感的にそう感じた。

黒い着物の人物は小さな声で話しかけてきた。「〇○です。○〇さん、、でお間違いない、、、ですか?こちらのお宅、、〇〇、、、お間違いない、で、、すか?」

はっきり聞き取れないのと何の事を言っているのか全く分からないのと何より怖かったので「違います」と心の中で必死に訴えた。

すると黒い着物の人物は「分かり、、ました、、。また後で、、来、ま、、す。」そう告げた瞬間一気に空気が軽くなった。それと同時に黒い着物の人物も消えていた。

はっと我に返り、私は玄関の鍵を確かめに行った。やっぱり鍵はかかっている。チェーンも。

一体何だったのだろうか。その日の夜私は昼間の出来事、あの黒い着物の人物が言っていた言葉が気になっていた。

「また後で来ます。」また来られてはたまったものじゃない。

気休めではあるが高校生の時に地元のイ〇ンで何となく買ったセール品の数珠を枕元に置いて寝ることにした。

夜10時半、電気を消して布団に潜り込む。多分10分も経っていない時だった。突然「カラカラカラ~ン!!」床に響く複数の音。

驚いて急いで電気を付けた。すると、寝る前に枕元に置いた数珠が切れバラバラに床に散らばっていたのだ。

流石に怖くなった私はその日は電気を付けたまま寝ることにした。翌朝、特に何事もなく目が覚める。

私は確信していた。きっと昨日の出来事は、あの神社が関係しているに違いない。

それから一週間後の休日、私は再びあの神社へと向かった。石垣と竹林の坂道を登る。神社の入口が見えてきた。

そこでふと、入口付近の大木の横に1人の老人が立っているのに気づいた。私が「こんにちは」と言いかけた瞬間おじいさんはこう言った。

「あんた良かったねぇ、命拾いした」おじいさんは続けて、「この神社はね、人に憑く神社なんだよ。」

私はおじいさんに詳しく話を聞いた。おじいさん曰く、ここに祭っているのは『神』ではない。もともと人間だった。

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コメント(1)
  • 鉄道沿線ではどこなんだろう。

    2022/11/19/07:54

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