ヘルメット

友達の高校で起きた事件です。

ある金曜日、ちょうど下校時間頃になって急に雨が降りだしたそうです。
傘さし運転は学校から厳しく禁止されていたし、お年頃の高校生にとっては、雨合羽なんてダサくてとても着られたものではありませんでした。

そのためバスに乗ったり徒歩で帰ったり、自転車を学校に置いて帰る生徒がたくさんいました。

事件は月曜日に起こりました。
自転車を置いていった生徒たちが自転車のかごに残していったヘルメットがひとつ残らず盗まれていたそうです。

田舎の人数が少ない学校とはいえ数十個はあり、運ぶのは相当大変だったはずです。
第一自転車のほうが価値がありそうなのになぜヘルメットだけを盗んだのか……？

全校集会が開かれるも、当然事情を知る生徒はいませんでした。
変質者や窃盗団の犯行も疑われ、学校全体がざわざわして友達はとても不安だったそうです。

解決は事件の発生と同様に突然やってきました。

ある朝、鍵当番の先生が学校に来ると、学校の塀のうえにずらりと盗まれたヘルメットが並べられていたそうです。
並べきれない分は花壇のふちや地面に置かれ、学校全体を囲うように等間隔で校舎のほうを向いていくつものヘルメットが並んでいる様子は、想像するだけでも本当に異様です。
(酒◯薔薇事件の再来だ！学校に生首が置かれている！と勘違いした通報もあったようです)

あまりに不気味なためヘルメットは学校側が処分したそうですが、誰が何のためにやったのか、今でも謎だといわれています。