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心霊

ブルータスさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

枕元
短編 2022/11/07 15:20 569view

あれは私がまだ小学生の頃の話です
私の家には自分の部屋と呼べるところがなく、保育園のころから母と同じ部屋で布団で寝ていました。
一人で寝るのが怖かったのもあります、暗いのが嫌で常に豆電球を付けて寝ていました。
しかしながら小学生にもなるとだんだんそれが恥ずかしくなって、ある時布団を敷いているソファーベットを
用意してもらったのです、昼はソファーにして、寝る前に背もたれを倒してベットにしていました。
自分は新しい寝床に満足していました。母はその隣に布団を敷き、30センチほど離れて寝ていました。
ある日の夜、何だか寝付けずにいました。寝よう寝ようと思っても、かえって意識がはっきりとしてしまうのです。
仰向けの体を右に捻り、横で寝ている母に話しかけようとしました。
母の枕元に、何かがいました。

母に向かって口にしかけた言葉がひゅんと胃の中に放り投げ返されたような感覚がしました。
黒い、もやのような人影が、私から見て、母の奥側に佇んでいるのです。
うっすらではありますが、そこに何かが居る、それだけは確かでした。
私は恐怖で声も出せず、動くことも出来ずに気を張ってその人影をにらんでいました。
目線をそらしたらこっちに来るのではないかと、子供ながらに思ったのです。
もやは微動だにせず、ただただ眠っている母をのぞき込んでいるようでした。
気を張っていたせいか、恐らく疲れで眠ってしまったのでしょう。
気づけば朝で、枕元には何もなく母の具合も問題ありませんでした。

あれから大分経ちますが、その時の異様な光景を忘れることが出来ません。
私はもう豆電球を付けて寝ることは、ありません。

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