心霊スポットにて

車の免許を取ったばかりで、友人と毎日車を乗り回して遊んでいた学生時代、その日も男女7人で夜遊びをしていました。

一人が、地元から1時間ほど車で走った隣県にある有名な心霊スポットに行こう、と言い出しました。

その当時、以前ガス爆発を起こした旅館の廃墟が、半壊したまま真っ暗な山の坂道の途中にありました。

有名スポットなだけあってか、肝試し感覚できている車が1台2台はよくいましたが、その日は平日だったので私たちだけでした。

時間は夜12時を超えていました。路肩に車を止め、皆で入るのをためらっていると一人の男友達が、「早く行こうぜ！みんな怖がり過ぎ！」と建物の中に入って行きました。

道路沿いに建つ4階建ての建物を前の道路から見上げる形で皆が見ている中、友人が崩れかけた階段をどんどん上がっていきました。

3階の踊り場から道路の皆に向かって手を降った瞬間、友人の周りから一斉に無数の青白い手が出てきて一緒に手を振って（？）いました。（手が友人に何かをしたようには見えなかったので、一緒に手を振っていたのかな・・という認識です）

道路にいた私たち6人は皆それを見ていましたが、皆びっくりしすぎてか声も出せず、取り乱して友人が戻ってくる時ケガでもしたらいけないと思い、一人の男友達が冷静に戻るように言いました。

無事に戻った友人を車に乗せ、すぐに出発しました。帰りの車の中で友人に起こった出来事を話し、自宅に帰るのが怖いと皆でその日はファミレスで朝を迎えました。