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呪い・祟り

ねこじろうさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

店内アナウンス
長編 2022/10/12 01:00 8,553view
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─もうダメだ、、、
そろそろ限界のようだ、、、
頼む、頼むから、どこかに消えてくれ、、、
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

思い返すと、それは一週間前のことだった。

大学は現在夏休みの最中で、俺は平日2日と週末、スーパーの警備員のバイトをしている。
郊外にある中規模のスーパーで24時間営業なんだけど、
仕事は午後10時から翌朝6時までで、内容は店内を周回しながら不審者がいないか?何か店内の施設に不備はないか?などを点検するものだ。

その時俺は、午前2時から30分の休憩を取るため、一階精肉売場のバックヤードにある休憩室にいた。

そこはコンクリートに囲まれた8帖くらいの殺風景な空間で、天井には安っぽい裸の蛍光灯が2つ並んでいるが1つはきれかかっていて室内は全体に薄暗い。

壁際に5台の古ぼけたロッカー。
そして奥まったところの窓際に薄汚れた広めのデスクが2つ。

俺はそのデスクの1つの椅子に座り缶コーヒーを飲んだ後、ぼんやり煙草をふかしていた。
すると

「あの、すみません、、、」
背後から女のか細い声がする。

驚いて振り返るといつの間に入ってきたのだろうか、ドアの前に女が立っていた
ありきたりの白いブラウスに地味なブラウンのスカート姿というところまでは見えたが、肝心の顔のところだけは何故か影のように真っ黒で、はっきりと確認出来なかった。

どうしたんですか?と尋ねると、
女はその場に立ったまま、実は3歳の息子がいなくなったんですと言う。

俺はマニュアル通り、まずは子供の特徴を聞くと、
デスクの上にあるマイクのスイッチを入れ店内一斉アナウンスを行った。

定番のオルゴール音が鳴り響く。

─いつも○○スーパーをご利用いただき、ありがとうございます。
迷子のお子さんを探しております
特徴は、
白い野球帽に赤のトレーナーの3歳の男の子です。
見かけた方は、お手数ですが当店スタッフまでお声かけください。
繰り返します、、、

その後必要事項を記入してもらおうと、用紙を出して振り返った時には女の姿はなかった。
どこ行ったのかな?と思っていると、しばらくしてからベテラン警備員のNさんが何やら凄く怖い顔で部屋に入ってきた。
このスーパーの警備員では一番古株のオッサンだ。

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コメント(1)
  • 最近の事案もそうてすが、子を持つ親には数十秒の油断も出来ない様ですね。
    ご冥福をお祈りします。

    2022/10/12/21:52

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