排水口の下に居たもの

あれは私が小学生の時です。

夏休み、学校のプールは解放されていて度々友達と泳ぎに行っていました。

ある日、排水口の上に乗ると水が吸い込まれていて、その感覚が面白く暫くその付近で遊んでいました。

排水口には吸い込まれない様に網が設置されており、その上に乗ると足がくすぐったくて友達と笑い合っていました。

すると足の裏に何か棒の様なものが触れた感覚がしました。

最初は網を留めるボルトでも当たったのかと思いましたが、乗っている場所は丁度網の真ん中だったのでそれはあり得ません。

気のせいかと思っていたらまた足の裏に棒の様なものが当たる感覚がしました。

そして気づきました。この棒の様なものが網の下から伸ばされている事に。

本来水は常に吸い込まれているので下から何かがせり上がって来る事はあり得ません。しかし、足に当たる棒の様なものは水の流れに反して突き出しているのです。

そして棒の様なものはカリッと足の裏をひっかきました。瞬時に棒の正体が人の指だと分かりました。網の下に人がいる、しかもそれはこの世のものではないと結論に至った途端怖くなって慌ててプールから出ました。

もちろん排水口は怖くて見れません。後から分かった事ですが昔プールの排水口に吸い込まれて亡くなった生徒が居たそうです。私の足を触ったのはきっとその生徒なのだと思います。