B9

私は普段あまりエレベーターを使いません。

理由は一度エレベーター内で怖い目にあったことがあるからなのです。

その日私はエレベーターで地下に向かっていました。

地下といっても地下に止めてある車を取りにいくために地下の駐車場に向かっていました。

B２のボタンを押したのになかなかつかないなと思ってふと見たら、エレベーターが「B3」「B4」「B5」と点滅していました。

そこでおかしいなと思ったのです。

確かこのビルはB2までしかないはずです。

押しボタンもB2までしかないし、私は確かに「B2」のボタンを押したはずです。

それなのに何の不具合なのか着いたのはB5でした。

そしてゆっくりとドアが開いて、髪の長い人が3人くらいエレベーターに入ってきたのです。

ちょっと長いのではなく、地面につくかつかないかくらいの長さの女性で、あきらかにおかしかったです。

乗ってきた人がボタンを押すとさらに階数は「B6」「B7」「B8」と下がっていき、最終的に「B9」が開きました。

そしたら3人は全員そこで降りて、エレベーターには私一人取り残されたのです。

私は怖くなって「1」のボタンを連打しました。

そしたらエレベーターのドアが閉まり、急にガタガタとエレベーターが縦に揺れ出したのです。

私は悲鳴を上げながら手すりに掴まりました。

強くつぶった目をおそるおそる開くと、エレベーターは1階に止まっており、慌てて外に飛び出しました。

外に出て外の空気を吸ってやっと落ち着けたけど、あれから調べてもやっぱりあのビルの地下は2階までしかありませんでした。

私はあの日どこに行っていたのでしょうか。

今思い出してもぞっとする出来事で、地上に帰って来られてよかったと思いました。