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心霊

成美さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

みんないるよね
短編 2022/09/21 18:48 1,307view
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私がまだ中学生くらいの時の話です。
当時は実家暮らしで、父、母、兄と私の4人で生活をしていました。
別に特別な環境ではなくごく普通の家庭だったと思います。
母は専業主婦で料理が上手でした。

その日の夕食は鍋料理で色んな具材が入っていて、仕事から帰ってきた父と兄も一緒にダイニングで食卓を囲んでいました。
鍋の味に舌鼓をうちながら、たわいもない会話をしつつも時間が過ぎていきました。
その時玄関の戸がガラガラと開けられる音がしたような気がしました。

うちの玄関は引き戸であり、田舎の家でしたので寝る時間までは戸締りはしていませんでした。
私は誰か来たのかなと思って玄関まで見に行きましたが、そこには誰もいませんでしたし戸も閉まっていました。
おかしいなと思いながらも、気のせいかと思ってダイニングのほうへ戻りました。

母が「誰か来たの?」ときいてきたので、「いや、誰もいなかったよ」と返しました。
その場は風の音か何かで気のせいだったのだろうという事でスルーされ、私は中断した食事を続けていました。
するとしばらくすると、ダイニングと廊下を仕切るすりガラスの引き戸に、人のシルエットらしきものが映り横切って行きました。
私にはそれが見えていましたし、トントンと歩く音もしていたので、家族も認識していました。

食べる事に集中していた私は「誰かトイレにいったか?」と思いましたが、ふとおかしな事に気がつきました。
家族も同じように気がついたようで、みんな顔を見合わせて言いました。
「みんないるよね?」
4人家族で食事中です。誰も席を立っていません。
なら誰が通り過ぎたのか?私は慌ててガラスの引き戸を開けて確認したのですが、やはりというか誰もいません。

そうしたら母が慌てて台所から持って来た塩を廊下と玄関に振りまきました。
よく見ると廊下が少し濡れている箇所があり、ちょっと霊感のある母が「良くないもんがきたんやろ、清めたから大丈夫」と言いました。
こんなおかしな事って本当にあるんだなと怖くなったのを憶えています。

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