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心霊

sabu86さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

初めての霊体験
短編 2022/09/14 07:32 1,336view

あれは今から30年近く前のこと。
子供の頃から幽霊話が大好きで、テレビや本、心霊写真集なんかを読みまくってましたが、残念ながら霊感が無いのか、自分自身が体験することもないまま、30才を超えてました。
当時、私は某地方都市でカラオケスナックのマスターをしていまして、店の2階を居室にしていたのですが、手狭だったので、そろそろ引越しを、と考えていたところ、丁度、店の前の道を歩いて2、3分の所に、貸家の文字を見掛けまして、外観を観たところ、玄関脇には屋根付きの車庫がある、古い平屋の一戸建てのようでした。
車も停められるし、一戸建てだからアパートのように生活音を気にしなくて良さそうだと思い、早速、不動産屋に電話を入れ、借りることにしました。
まだ残暑の厳しい8月半ばの頃でした。

玄関を入ると真っ直ぐの廊下があり、突き当たりを右へ曲がると台所、そこを左に曲がり、廊下の突き当たり手前に風呂とトイレがあり、奥に長い感じの間取りでした。
玄関からの直線廊下の左手には6畳の和室が2部屋並んでいて、片方の和室には床の間と、一間ほどの仏壇を収めるガラス扉がありました。そして廊下の右手には4.5畳程の洋室が一つ。

生活の拠点は洋室の方と決めて、テレビとテーブル、簡易ソファーをセッティング。
寝るのは、玄関から遠い方の和室の隅に、ダブルサイズのベッドを設置して、和室同士を仕切る襖は開放して二間続きの形で使うことにしました。

引越してから、2週間ほど過ぎた頃かと思います。

当時付き合っていた彼女が泊まりに来ていた日、朝方の明るくなって来た頃に、彼女がベッドから起き出した気配で私は目を覚ました。
隣りを見ると彼女の姿はなく、
『あぁ、トイレに起きたんだな』
と、ぼんやり思って、またタオルケットを引き寄せて眼を瞑り、ウトウト。
またベッドが揺れて彼女が戻って来て横になった気配を感じたけれど、今度は眼は開けずにそのままウトウト、、、、、、ところが、?!

ん?なんか、寒い?!

扇風機を回し、タオルケットを軽く掛けて寝ていたけれど、突然、感じたことがないくらいの悪寒に襲われました。
身体中の肌という肌の毛穴、髪の毛の毛穴、それら全ての毛穴が一瞬で〝キュッ!〟となるほどの悪寒。

そして、

〝ピシャン!!〟と、開けっ放しにしてある隣りの和室との間にある襖が勢い良く開かれる〝音〟と共に、

〝あっ、ここにいたんだ!〟と言う若い女の声と同時にスリッパで走り寄る足音が。
足音が、、、寝ているベッドの頭の辺りまで来て止まったのです。
ベッドは部屋の隅に設置してあり、頭の後ろは障子戸がピッタリとくっ付いていて人の立つ隙間もないのですが、ベッドの頭側に立って私を見下ろしている髪の長い女の姿が頭の中に見えて来ます。

私はタオルケットを頭から被り、今、トイレから戻って来たばかりの彼女の腕を掴み揺さぶりました。
が、起きません。
何度、揺さぶっても起きないので、仕方なく、爪を立ててツネってみました。
それでも彼女は起きません。
起きないどころか、ウンともスンとも、寝息すらも聞こえませんでした。

早く何とか消えて欲しいと思い、最後の手段と意を決し、声に出して念仏を唱えました。

何分か時間は定かではありませんが、暫くすると、また部屋の温度が蒸し暑さを取り戻し、隣りの彼女が起きて一言、
『何してんの?』
と。

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