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にんじんさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

祖母からの最後の電話
短編 2021/02/17 22:34 1,695view
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 私は三兄弟の長女です。下に弟と妹がおり、それぞれ3歳ずつ歳が離れています。生まれたばかりの弟と妹はとても病弱で、親は弟と妹に構いっきりになっていました。すごく寂しい思いをしたことを今もぼんやりと覚えています。

 親が弟と妹のことで忙しくしている間、私は遠く離れた父方の祖父母の家に預けられていました。父方の祖母はとても優しい人で、いつも私の遊び相手をしてくれました。父方の祖父はとても偏屈な人で、私や祖母に辛く当たることもあったのですが、そんな時、祖母はすぐに気持ちを切り替え、いつも通りの笑顔でおおらかにふるまうのです。私はそんな祖母が大好きで、同時に尊敬していました。祖母のようにおおらかで優しい人になることは今でも私の目標です。

 祖母は、私が物心ついたころから病気を患っており、入退院を繰り返していました。思い返せば、10回以上入退院を繰り返していたと思います。そのたびに祖母は病状が良くなった状態で帰ってきてくれるので、たとえ入退院を繰り返していたとしても、絶対に戻ってくると信じていました。

 忘れもしない中学3年生の時、この頃私はすっかり娯楽にはまり、受験生であるにもかかわらず、恥ずかしながら遊んでばかりいました。私がものすごくのめり込む性格であったため、娯楽に歯止めが利かず、止めようとした親と大喧嘩する毎日でした。この頃も、祖母は入院していました。

定期テスト習慣の際、勉強をさぼってゲームをしていると、一本の電話がかかってきました。電話は非通知だったですが、確かに祖母の声でした。声は「もう元気になったよ。迎えに来て。ところで〇〇ちゃん元気にしてる?いい子にしてる?」と私に言います。私は、「まずい・・・遊んでる・・・。」と思いましたが、祖母が元気になったことが嬉しく、事実確認をするために病院に電話をしました。

しかしながら、電話に出た看護婦さんは、祖母の退院の予定はないし、そもそも今寝ているところで祖母は部屋から一歩も出ていないというのです。祖母は携帯電話を持っていないため、病室を出なければ電話をかけることはできません。私は、狐につままれたような気持ちになりながら、間違い電話か、それとも夢だったのかな。と思うことにしました。

その夜、祖母は亡くなりました。

 私は幽霊なんて非科学的なものは信じません。しかしながら、この電話だけはたとえ幽霊であったとしても祖母からの電話であってほしいと思うのです。
 最後になりますが、この話は全て私が体験した実話です。世の中には不思議なこともあるものです。

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コメント(3)
  • やさしいね

    2021/02/18/03:57
  • おばあちゃんの為にも頑張らないとですね。素敵なお話を有難うございます。

    2021/02/18/05:59
  • 怖い話良かったです。素敵な話良かったです。

    2022/09/17/10:43

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