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心霊

みょうみょうさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

初心霊スポット
長編 2022/09/10 17:42 1,177view

 これは私が高校生の頃に体験したお話です。

 当時私は高校2年生で、よく一緒に行動する4人組の中の一人でした。その中の一人(ここではA君とします)は昔から心霊やオカルトといったものに人一倍興味があり、よく学校に心霊系の本を持ってきて「これやばくね!?」などの感想を求めてきているほどでした。しかし反対に私を含めた3人は心霊やオカルトなどは一切興味は示さず、むしろ非科学的であり得ないとその友達をバカにするくらい全く信じていませんでした。

そんなくだらない日常を過ごしたいた私たち4人組でしたが、ある日Aがみんなで心霊スポットに行かないかと提案してきました。もちろんA以外の私たちは幽霊など信じていないし行く必要もないし魅力を感じなかったため、3人で渋い顔をしていました。もちろんこの中で心霊スポットに行ったことがある人も霊感がある人もいないため、尚のこと心霊スポットなんて行くもんかという意見でした。しかしやはり高校生というものは何か刺激を求めてしまう年頃なのか、「心霊スポットに行くこと」よりも、「深夜に仲のいい友達と遊ぶ」とにフォーカスしてしまい、幽霊そっちのけで、そんな深夜に遊んでみたいという欲が勝りました。その結果Aの提案に乗り、人生で初めての心霊スポットに行くことになりました。

 私たちはとりあえず心霊スポットに1番近いコンビニに集合することになりました。コンビニに行くともう既に私以外の3人がいて、もう既に盛り上がっている様子でした。もちろん私もコンビニに着く頃には深夜に家を抜け出すということが背徳的な行為だと思いワクワクしていたのを覚えています。

コンビニでしばらく雑談をしたあとAが「そろそろ行ってみますか!」と腰を上げいよいよ心霊スポットに向かうことになりました。今回私たちが行くことになったのは、誰もが名前の聞いたことのあるのうな有名なところではなく、地元民ならみんな夜は近づかないと言われている廃墟でした。もちろん不思議な体験をしたという話も多く聞いており知る人ぞ知る的な感じで少し有名な場所でした。そんなこんなで目的地に着いた私たちは霊など微塵も信じていないにも関らず廃墟が漂う雰囲気に思わず声が漏れてしまいました。いくら霊を信じていないとしても、やはり深夜1:30頃に廃墟に行くというのはシンプルに不気味で怖かったため、霊関係なく全員少しビビっていました。するとAが、「とりあえずこの廃墟の前で記念撮影でもしとくか〜」と軽いノリで提案してきました。私たちは口を揃えて「絶対心霊写真狙ってるだろ」とAの魂胆を見透かしたようなことを言いました。Aは「せっかく4人でこんな時間に集まった記念だって!」と考えを変える気はありませんでした。私たちも、記念かぁと全員で結局写真を撮ることになりました。

 一通り写真を撮り終えたところでいよいよ廃墟に踏み入ろうというタイミングでした。当時私たちは全員iPhoneユーザーで、iPhoneのライトを使っていたのですが、全員のライトが一斉に消えたのです。画面を確認すると全員のiPhoneの画面には充電切れのマークが表示されていました。これには全員驚き慌てました。しかし予備のライトがあるとAはすかさず懐中電灯を取り出し灯りを確保しました。しかし今考えても全員ほぼ充電マックスでライトと軽い写真しか撮っていなかったのに突然充電がなくなるなんて異常事態でしかありません。しかしやはり、若さなのか、その状況でも楽しんでいた自分達がいました。iPhoneに異変が起きた辺りから、霊感がない自分でも一気に気温が下がるような、背筋が震えるような悪寒をしばしば感じていました。しかし夏といっても夜は夜。しかもその廃墟の周りは木が多いため自然と涼しいもんだと思い込んでいました。思えばここでやめておけばよかったと本当に思います。

 懐中電灯を持っているAを先頭に私たちは廃墟の入り口に立ち、さて行くか!といったタイミングで、その廃墟の窓をノックするような音が聞こえました。これには私もさすがに驚きを隠せず、「聞こえた?」と他3人に尋ねてみました。すると全員がこちらを向きながら静かに頷き、全員で音の方向を向きましたが、そこには経年で汚れた窓ガラスがあるだけで、人影などは一切ありません。私だけ聞こえたのならまだしも、全員が聞こえたあの音は決して空耳でもなく明らかに誰かが窓を軽く叩いたような音でした。普通ならここで引き返すのが正解なのかもしれません。しかしそこは地元では有名な心霊スポット。もしかしたら先客がいて、私たちを見かけて驚かしてきただけかもしれないと、なんとも楽観的な考えで廃墟に侵入することになりました。しかし廃墟に1歩踏み入れた瞬間、全身を刺すような冷たい空気が空間を支配していました。これにはさすがの私たちも諦めざるをえませんでした。

 結局最初のコンビニに戻り私たちの初めての心霊スポット体験は終了しました。・・・に思えました。この後私たちは本当に鳥肌が止まらない出来事に遭遇します。

 まず私たちがコンビニに着く頃にはiPhoneは復活しており、なぜあのときあのタイミングで使えなくなったのか疑問でしたが、まあよかったと安心していました。そして廃墟の前で撮った写真を確認することになり、Aの写真フォルダを開きました。しかしそこには見たことない室内の写真で埋め尽くされていました。さすがのAもこれには驚きましたが、さらに驚きだったのが、このどこかもわからない見たことのない写真がなぜか全員の写真フォルダに残っていたのです。そのとき私たちはこの謎の写真があの廃墟の間取りの写真であることに気づきます。さすがに恐怖が勝ち全員で家に帰ることになりました。

 後日Aが「最近ずっと肩が重いんだよね」とぽろっと呟きました。その瞬間私たちはあの廃墟を思い出しました。結局Aの肩の重さの原因は分からず、あの廃墟で突如写真フォルダに保存されていた写真の正体も分からないまま私たちは卒業しました。今思えばあの廃墟には誰かに見つけてほしい”何か”がいて、Aはそれを写真で見つけてしまい、その結果Aのすぐそばに近づいていたのかもしれません。

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