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ヒトコワ

fu-sukoさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

鬼の面
短編 2022/09/01 12:25 2,473view

サークルのみんなでキャンプに行った時の話です。

昼食の片付けをしていると、真っ赤な鬼の面をつけた、男の様な影が森の茂みでなにやらゴソゴソしているのが目に入ったんです。

変質者なのではと思い、声をかけに行こうとすると、それに気づいたのか、男は手に持っていたものを置いて茂みの奥へと姿を消しました。

見に行ったら、男が置いていったそれは、人の膝から下くらいの長さがある木製の杭のようなものでした。

しばらく手に取って眺めていると、キャンプの方から自分を呼ぶ声がしたので、私はそれを放置してみんなの所へ戻りました。

みんなの元に着くと、どうやらバドミントン大会を始める事になったみたいでした。

チーム決めをするという時に、「どこ行ってたの?」と友人のYが訊いてきました。

私は、どう答えるべきか一瞬迷いました。

変な奴が居た、なんて事を言ったら、せっかく盛り上がっていた場の雰囲気が悪くなります。

女子に至っては帰りたいと言い出すかもしれません。

結局、「いや、ちょっと用足してた」と適当を言って、男の事についてはしゃべらない事にしたんです。

バトミントン大会も終わって夕方になると、みんなで夕飯とキャンプファイアーの為の大量の薪集めに取り掛かりました。

雑木林とキャンプの間を何往復もして疲れて一息ついていると、Yに視線が釘付けになりました。

彼が持っていたのはあの杭だったんです。 

ただ、下の尖った部分だけ色が違う。

私にはなんだか乾いた血の跡のように見えました。

しばらく呆然とその杭を見ているとYが言いました。

「どうした?」

「え、それ、どっから拾ってきたの?」

「あぁ、あっちのほう。こんな感じのがまだあったから一緒に来いよ」

彼が指さしたのは、まさしく昼に鬼の面の男を見た茂みの方向でした。

その事を黙っていた私は少しギクッとしたんですが、ここで断るのも変な気がして、

連れられるまま茂みへ向かいました。

それからしばらくの間、Yの後に続いて、雑草をかき分けて進んでいると、コツンと何かが靴に当たったんです。

それはあの鬼の面でした。

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関連タグ: #キャンプ#声#鬼
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