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心霊

wongさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

防空壕の青年
短編 2022/08/28 14:59 1,298view
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中学3年生の時に、修学旅行で沖縄に行きました。
初めての沖縄でしたが、珍しい食べ物や美味しいフルーツ、お店の人も優しくてとても良い思い出として記憶していますが、ただ一点だけ10年以上経つ今でも不思議に思うことがあります。

それは防空壕での出来事です。
沖縄での修学旅行を通して、戦争についての理解を深めるため、時間をずらして1クラスごとに防空壕に入るという機会がありました。

私のクラスの番になったのは15時頃です。
中を案内し説明してくれるガイドのおじさんと、担任の先生を先頭に、各々持参した懐中電灯を持って防空壕の中にはいりました。

みんなが明かりを持っているので、中の様子はしっかりみえていて、ひらけた空間にたどり着くたびガイドさんの話を聞きました。

ひときわ広い空間に着いた時、明かりのない防空壕の中がどれだけ暗くなるのか身をもって知るために、みんなで一斉に懐中電灯を切る、といった指示をだされたのでクラス全員がそれに従いました。

明かりが1つもない防空壕の中は本当に真っ暗で、目を開けているのか閉じているのかもわかりません。
そうして1分ほど真っ暗闇が続いた後に、1人のクラスメイトが手持ちの電灯のスイッチを誤って一瞬だけつけたのです。
「怖がってるやつがいるな」と担任が茶化し、みんなが笑う声を聞きながら、私は「あれ?なんで誰もあの人について触れないの?」と思いました。

なぜなら一瞬だけ明かりがついた時、でこぼこになっている防空壕の壁に、顔が真っ黒で上半身しかない、帽子を被った青年の姿が私には確かにみえたからです。

明らかに生きている人の姿ではなかったのですが、不思議と恐怖感はなく、その存在を誰に確かめることもしなかったので、今でもあれはなんだったのかわからないままです。

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