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心霊

みみみさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

車の助手席には・・・
短編 2022/08/20 08:30 676view

中学生の頃の話です。

塾の帰りに仲の良い友達と近くのコンビニでお菓子を買い、すぐに帰らずにおしゃべりしながらウロウロ歩いていました。

踏切に差し掛かった時にちょうど遮断機が降り、私たちは踏切の前で電車の通過を待つことになりました。

私たちは遮断機に向かって右側の歩道にいたので、反対側の車線に車の列が出来ていきます。

おしゃべりしながら何気なく車の方を見ると、先頭の車が驚くほど汚れていることに気が付きました。

当時の私でもその車は大変な年代物という事が分かるくらい古い車で、何十年も乗らずに、手入れもせずに今日突然乗ってみた、という感じで、暗い夜でも車体は埃にまみれ汚れているのが分かり、ちょっと異様な光景でした。

右ハンドルのその車の運転席には、20代後半位の男性が乗っていました。

怒っているような、不貞腐れているようなムスッとした表情で前を見ています。

奥に視線を移すと、男性と同じ年代の女性が乗っています。髪が長くてノースリーブの服を着ていて、男性と同じように不機嫌そうに前を見ています。

会話をしているようでもなかったので、(ああ、ケンカしているのかな、でも自分が乗るのに彼氏の車がこんなに汚かったら彼女も嫌だろうなあ、ちゃんと洗車してから乗せれば良いのに。)と勝手に想像していました。

踏切が上がり、その車は走り去って行きました。

私がその車を目で追っていると、友達も同じようにその車を見ていました。

友達も同じ事を考えていたらしく、「汚い車だったね!」と言ったので私も、「ね!彼女乗せるなら洗車ぐらいすれば良いのにね!」と言うと、友達は「え?彼女なんか乗ってなかったよ。私、こんな車じゃ彼女もいないよな、て思って助手席を見て、やっぱりいない、一人だよな、と思ったもん。」と。

冗談でからかっている感じでもなかったので、女性の特徴を話し、「絶対いたよ!はっきり見えたもん!」と言いましたが、友達は確かに助手席には誰もいなかったと。

夏の暑い夜でしたが、サーっと背筋が寒くなり、その日は早々に帰りました。

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