ひとり

ひとりカラオケ、ひとり回転寿司、ひとり金魚すくい…彼氏なし独身の私はひとり〇〇を制覇してきた。

ひとりでできないであろう体験を列挙しているとふと思い出したのだ。

今から20年以上前の話。小学校に転校してきた子がこっくりさんに似た『キューピット様』というものを学校で流行らせた。

内容は、A3用紙にあいうえお〜わをんを書く。それから、みんなで鉛筆を握り、名前を呼んで鉛筆に宿ったキューピット様に好きな人の好きな人を教えてもらうというものだ。（真似する子がいるかもしれませんので具体的な記載は省きます。）

5、6人で鉛筆を握り、好きな人が分かっている人で試した。名前の文字を何個か指し示し、『当たったんじゃない？』とみんなで興奮した。

けれど、本当に知りたい好きな人の好きな人ははっきり分からず、鉛筆が動くことでさえ不審に思い始めた。

そこで、私は“ひとりキューピット様”をしてみた。

最初は、呪われることがあると聞いていたので怖かったが確かめてみたかった。友達が見ている中でひとり鉛筆を握り名前を呼んだ。

すると、静かに動いたのだ。その時の驚きは今でも覚えている。怖くなってすぐに何も聞かず終わらしたが、磁石にひっぱられているような感覚だったと思う。

まぁ、こんな話をして信じてもらえないと思う。流行は廃り、20年経った私もすっかり忘れていたのだし、今思えばあの時からひとり〇〇が好きだったのだろう。

こんな話をして、くれぐれも今気になっている人や返信が来ないあの人の気持ちを探ろうと鉛筆と用紙を準備して名前を呼ばないようにしてほしい。

なにせ、キューピット様は大人と光を嫌うのだから。