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不思議体験

サンダーVさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

不安な木
短編 2022/08/13 12:12 1,594view
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埼玉県西部の小都市、あと15年で完済のマイホームに妻と二人の息子と住んでいます。

仕事を終え帰宅時の事です。

自宅の駐車スペースにマイカーを止め玄関へ向かうとき隣家の奥さんAと目が合い挨拶しました。

普段は快活なAさんが少し困惑したような不思議な表情をしていたので珍しいこともあるなと思い話しかけました「何かありましたか?」するとAさんはため息交じりに話し始めました。

我が家とAさん宅、そしてもう一軒のBさん宅は道路に面して3軒ならんで建っています。

Aさんの家の駐車スペースはBさん宅の隣で低い塀があります。

以前から庭が広く手入れが行き届いていないBさん宅から雑草などがAさんの家の敷地にはみ出していることがあり声をかけて飛び出している雑草などをBさんに刈り取ってもらったりしていました。

その境界線沿いのBさんの敷地内に、かなり古い枯れた一本の木が有り、Aさんが駐車している車に倒れてきそうな感じなのでBさんにどうにかしてほしいと訴えたそうです。

Bさんは70歳くらいの比較的元気なおじいさんで奥さんはかなり前に亡くなり息子夫婦と同居していましたが息子は福岡県に長期出張中だそうで数年姿を見ていません。

息子の嫁と小学生の孫娘と実質三人暮らしのようでした。

Aさんから見てBさんは普通の人のように思っていたのですが枯れ木の話をするとBさんは猛烈に怒り始め木を切ってもらうどころかその話自体を聞きたくないと言わんばかりの対応だったそうです。

Aさんは怖くなりBさんにはそれ以降その話をしないようにしているのですが、その枯れ木はさらにAさんの車に倒れ掛かるような角度になってきて車の事が気がかりでした。

近くに月極の駐車場でもあればいいのですがそんなものは近くになく路駐はよろしくない、どうしたものかとAさんは困っていました。

少し歩いて様子を見に行きました。

以前から場違いな高さ3メートルほどで細い杉の木が一本生えていたことは知っていましたが、Aさんの話の通り、枯れて倒れそうになっていました。

おかしなことに2週間前の休日に息子と自転車で通りかかったときはこんなに枯れていなかったしこんな角度で倒れそうにもなっていませんでした。

さらに葉も枯れてこの時期としてはおかしな色をしており不気味な印象でした。

Aさんの不安も理解できたので一緒にBさん宅にお願いに行こうと言って訪問しました。

玄関のベルを鳴らすとBさんの息子の嫁さんが出てきました。

もう夕方7時を過ぎていたので遅くに申し訳ないがと断りを入れて枯れ木の話をしました。

B家の嫁さんは話を聞き、困った様子でこう言いました「お話は分かりました義父はもう寝ているので明日話をしておきますが、、、」あまり良い反応ではなかったのです。

意を決して私はB家嫁さんに「もしかして大事にされている木なのですか?ただ、かなり枯れていてお話しした通りAさんの心配も杞憂とは言えないと思います。

お手伝いできることがあればやりますから何とかご対応を」そこまで言うとB家嫁さんはうなずいてその日の話は終わりました。

Aさんにお礼を言われ帰宅しましたがそれからしばらくずっとその不気味な枯れ木の印象が残りました。

数日動きがなく枯れ木も相変わらずの状態でした。

ある日寝ているときに外で話し声が聞こえ数十分後に救急車がすぐ近くに止まりました。

妻と何事かと話して外へ出るとBさん宅の前に救急車が止まっていました。

歩いて近くへ行くとストレッチャーにBさんが載せられ暗い中でも頭から血を流しているのが見えました。

B家嫁さんが救急隊員と話をしていますが泣きながらパニックを起こしているようでした。

B家嫁さんは一人で残していけないので娘と一緒に救急車で病院へ行きました。

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