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呪い・祟り

ぽすとめんさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

301号室の運命
短編 2022/08/06 11:55 573view
今から10年前、私は新卒で近畿地方のとある企業に入社した。

入社日前日、ぞろぞろと集まってきた同期達と共に期待と不安が入り混じる中の入寮。

立地は工場に隣接する形であるが、JRの最寄り駅から車で30分、寂れた私鉄の最寄り駅から徒歩40分という東京からやってきた私には衝撃のロケーションであった。寮は築40年と古く、日が沈むとその外観はなかなか不気味な雰囲気を醸し出している。更に追い打ちをかけるように、寮に20年住んでいるというベテランの先輩社員から耳を塞ぎたくなるような話を聞いた。

「寮の3階角部屋だったかな、昔新入社員が研修中に自死したらしいんだよ。」

「えっ…」

「会社としては隠してるようなんだけど、どうもあの部屋に入れられた新入社員は皆その後不運に見舞われることが続いているみたいでさ…だから、他の人の部屋に泊めてもらってでもあの部屋は避けた方が良いと思ってさ。俺らにもそれを伝える義務があるのよ。」

301号室を割り当てられた同期は、高卒入社の現業社員T君だ。彼は非常に活発で物怖じしない性格なので、その事実を聞かされても動じるどころか「何それ、メッチャおもろいやん!」という反応であった。彼は結局研修期間の3カ月、その部屋で何事もなく過ごし続けた。

そして研修は終わりそれぞれが日本全国に配属され、私も配属になった営業所で忙しく働き当時の話も忘れつつあった入社2年目の秋、工場で重大な事故が発生したという知らせが入ってきた。

クレーンで運んでいた鉄板が落下し、歩いていた作業員の右腕を直撃。その被害者こそ301号室に居たT君だ。彼の右手は粉々に砕け、切断こそ免れたが自由に動かすことは出来なくなり工場作業員としての命である右手の自由を失った。その後電話で彼と話せる機会がありその時は健気に振舞っていたが、程なくして彼は退職してしまった。もしあの301号室を避けていたら、彼の運命は一体どうなっていたのだろうか…。
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関連タグ: #不気味#東京#電話
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