お盆にはよくあること

親戚の住んでいる町で夏祭りがあると言うので家族で行ったときの話し。
海がすぐそばにある町で、町民はあまりいないからか、夏祭りと言っても数店の屋台が出て、盆踊りと小規模な打ち上げ花火が上がるくらい。
それでも小学生の私にはとても楽しくて、気づいたら親とはぐれてしまっていたんです。

泣きながら親を探していると、いつの間にか盆踊りの列に紛れ込んだみたい。
前と後ろには自分よりずいぶん背の高い人がいて、ゆらゆらと揺れながら踊っている。
磯の臭いがやたらときつくて、そのときは「海が近いからかなぁ」と思ってた。
前の人についていって見様見真似で踊っているうちに涙は引っ込んでいったなぁ。

1周、2周くらいしたあたりで「○○！こんなところにいたの？」って声が聞こえて列から引っ張り出された。
母親と父親と、あとは一緒に私を探していたらしい親戚家族もいた。
私が「どうしてそんなに怒ってるの？」って顔でじっと母を見つめていたら、「こんな山奥まで1人でどうやって来たの」って。

どうやら私は、祭り会場から子供の足で歩いて3時間はかかる山の中の神社にいたらしい。
私が居ないってことで町民総出で探してくれて、もしかしたらと思って来てみたら、神社に私がいたのだとか。
親戚のおじさんからは、「この町に住んでると、たまにあること。きっと磯の臭いの人達は、お盆でこっちに帰ってきた人らだったんだろうな」って。
神社にいたのは、山の神様のいたずらだったんだろうと言われました。