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不思議体験

cocoroさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

息子を助けたじいじの助言
長編 2022/07/22 17:53 3,968view

これは、息子が小学校6年生の時のお話です。

息子は、私の実家によく遊びに行っていました。じいじにとっては息子は初孫で、私には子供ができないかもしれない婦人科系の病気、体が弱いことで、赤ちゃんはあきらめモードでした。でも、結婚して、すぐに赤ちゃんを授かりました。

しかし、そこからが大変でした。その年は台風の当たり年で何度もお腹が張るので、ばあばが早めに入院させてもらいなさいというので入院させてもらいました。39週4日目のことでした。妊娠中毒症の気味で、むくみもでてきて、病院へ行くと血圧が上がる白衣高血圧のため、入院する手続きをした後、ベッドに横になるとすぐに、急に今まで動いていた息子が動かなくなり、心拍が停止、酸素吸入、緊急帝王切開、休みの産科医を急遽呼び出してもらう始末。

母子ともに危険な状態を乗り越え、バタバタとその日のうちになんとか無事出産。。。。。

低出生体重児で産まれた真っ白な息子は哺乳能力も低く、点滴でなんとかやり過ごしました。小さいときは病気がちでずっと心配されてきました。

そんなこんなでじいじとばあばは、それはそれは、大事に大事にしてくれていました。

実家でじいじとばあばと一緒にご飯を食べたり、じいじは特に新聞紙を丸めた棒を二つ作ってちゃんばらごっこをしたり、一緒にアニメを見たり、ゲームをしたりと子供目線の遊びをたくさんしてくれたので、息子もじいじのことが大好きでした。

 そのじいじも早くに他界して4年がたったある日、私の実家に遊びに行っていつものように遊んで、帰りに玄関先で靴を履いていると、後ろに立ったじいじが真面目な声で言うそうです。

『○○(息子の名前)、右には曲がるな、左に曲がれ、左やぞ、ええな。』

後ろを向いた息子は、まじまじとじいじをみて

『えっ?なんで?』と聞き返しました。

すると、じいじは、真面目な顔をしてうなずくばかりで、

『お母さんが心配するから、気を付けて帰るんやで。早く車に行ったり。』と。

じいじは、優しい声でいいました。

お母さんの車が止まる音がしたので急いで、じいじに、

『また来るな~!じいちゃん、ばあちゃんバイバイ~!』と手を振って出てきたのでした。

車に乗り込み、車のドアをバンっとしめた音でハッと目が覚たのでした。

そう、夢だったのです。

いやにはっきりと鮮やかに残っているじいじとの会話を思いだしながら、亡くなったじいじに夢で会えた喜びにうれしくなるのでした。

夢はいつも、わけわからない結末が多いので、まあいっかとその時は、言われた言葉の意味は理解できないままに。

学校へ行く時間になってきているので、そそくさと用意をして、朝ごはんを食べて、私にはそのことを話すこともなく、いってきま~す!といって、登校していきました。

 その日、学校から帰ってくると、息子は、

『友だちにI谷に遊びに行こうといわれたから、8人くらいで遊びに行ってくるわ!5時にはかえってくるから。』といって、バタバタと急いで自転車で、それでも、息子はしっかり義務付けされたヘルメットを忘れずにかぶって出かけていきました。

この頃の子供たちは、学校から何度もヘルメットをかぶって自転車に乗りましょうというお手紙をもらってきていましたが、カッコ悪いからと、男の子は特にかぶっていない子がほとんどの中、息子は几帳面で、私も息子の運転技術力に若干の不安もありました。

 息子の学年はゴン太坊主がいて、よく巻き添えを食らって、ケガをしたり、キレると何をするかわからない子も多く、喧嘩して、相手の子の頭にケガをさせて流血沙汰になり、学校に救急車が来るような事件、校区外に行くとその近所の人に警察を呼ばれるような事件がよくあったので、かぶらないと遊びに行くなと言っていました。

それを本人も自覚していたようでした。

 I谷というのは、山間にあり、家からも学校からも近い所で、木々がたくさんあり、セミやくわがた、オニヤンマなど昆虫がたくさんいて、登山道もあり、ウォーキング、ランニング、犬の散歩をする人がたくさん出入りして、何かあってもすぐに人を呼べるような場所でした。

小さな足首までつかるくらいの小川や生き物がたくさんいる浅いビオトープが作られ、小さなアスレチック場やキャンプ場もあり、子供たちにとっては開放感のある冒険の場所でした。

 そんなI谷でいつものように大勢の友だちと自転車で小川の中をつっきったり、小枝がたくさんある山の中、石ころの山を登ったり下ったり、転んだりどろどろになりながらも、ひとしきり遊んで、さあ、もうそろそろ5時だし帰ろうかということになったそうです。帰り道、坂道を下る競争をして一番早いものが誰かやろうということになりました。

 帰りは、長い急な下り坂を通らないといけません。

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