駐車場の暴走車
投稿者:闇の雇われ店長 (1)
車内には本人が書いたものと見られる便箋が何十枚と散乱していたようで
彼女が発見される数十分前に、警官が窓を割って車のドアを開けた際、
上司の足元に何枚かが風に乗って飛んできたそうです。
あれから数日経過し、事件のことも自分の中で整理できはじめ
日常を取り戻しつつあったある日の待機時間に
上司と後輩が思い出したくもないあの事件について話していました。
私は一日も早く嫌な出来事は忘れたかったので
「いつまであの話ししてんだよアホか」と内心バカにしつつ
会社への提出書類をまとめていました。
「遺書ですか!?」
車内にあった便箋の話を聞いた後輩が、興奮した様子で声を上ずらせながら上司に尋ねました。
コーヒーを飲みウ~ンと唸りながら
「遺書とは違うなあ」と、上司。
聞く気はないけど間近でそんな話をされたら嫌でも耳に入ってしまうので
さっさと答えてこの話題やめてくれよと
ハッキリと答えない上司に内心イライラが募って仕事が全く手に付きません。
後輩ももったいぶる上司に私と同じ感情を抱いているようで
矢継ぎ早に質問する声から苛立ちが伝わってきます。
「遺書じゃなかったら何なんですか!?」
何とか答えさせようと食い下がる後輩に根負けしたのか
深い溜め息をついて上司がポツリと一言。
「大きな丸が一個、ペンで描かれてた。それが何十枚。」
次の瞬間、私の頭の中に、冬空の下で
無人でグルグルと円を描き回り続ける白の軽自動車が頭に浮かびました。
あの暴走車はただの故障だったのでしょうか?
あれから20年ほど経った現在でも自分にはどうしてもそうは思えないのです。
なんかちょっと怖いね…
不気味な感じ、呪いとかかな?
わかんねーや、でも怖い!
こういうの好き
怖いってより気味が悪い話よね
不気味で不可解で読後感が気持ち悪くていい!
タイヤ音が聞こえてきました…。