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心霊

ギュさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

白いカーテン
長編 2022/07/17 00:58 2,406view

この話は、私がまだ10代の少し親に反抗していた時期の夏に起こった出来事です。
私の地元には少し離れた所に人工湖があり、そのそばの林道付近に一家心中をして、若い夫婦と幼い子供の3人が亡くなった家が建っています。
仲間内では、有名な心霊スポットですが、未だに誰も行った事がなく、車を持っていた当時の彼氏にその話をすると、心霊スポットが大好きな彼氏は怖い物見たさで行く流れになりました。
当日はダブルデートも兼ねて、彼氏と私、彼氏の友人(A君)とその彼女で、私の中学の同級生(B子)と行く事になりましたが、私はなぜかその日今までに経験がしたことのない頭痛になってしまいました。でも、男性陣はとても楽しみにしていたので、そるに合わせて無理を押して参加をしていました。B子は終始、

「行きたくない。やめようよ」

と言っていたのですが、結局男性陣に折れて参加する事になりました。
夕方から集合をして、ドライブデートに出発です。人工湖までは車で45分ほどで着きます。湖に近くにつれて、頭がもっと痛くなった私は、彼氏にその事を伝えると薬局に寄ってくれる事になりました。薬局で買った薬を飲みましたが一向に良くならず、車の助手席で仮眠を取る事になりました。

「待ってくれよ!!うわあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

私が飛び起きた声はA君の叫び声でした。
何事かと思い辺りを見渡すと、すでに日は落ちていて、心霊スポットの林の中をヘッドライトの明かりを頼りに車は猛スピードで走っていました!

「どうしたの?何してるの??止めて、A君が!!」

彼氏は答えもせず、瞬きもせず前だけを見てハンドルを握っています。私は後ろを振り返ると、すでにA君の姿が小さくなっていき、やがて見えなくなりました。
B子はガタガタ震えて、後部座席で頭を抱えて小さくなっています。私も訳が分からず、もう一度彼氏に言いました!

「止めて!!!」
「止められるかよ!」
「何を言ってるの?!…」

よく見るとクーラーが効いた車内なのに、彼氏の額には薄っすら汗が滲んでいました。それだけ、彼氏は必死に運転をしているようです。

「でも、A君が!!」
「アイツがいけないんだ!!」
「???」

「いいから、話かけるな!!」

彼氏の迫力に押されて、私は黙ってしまいました。ふと、視線を人工湖がある左側に目をやると、火災があった家がありました。2階建の立派な家だった事が骨組みからわかります。木の間に見える家の一部分に私は目が釘付けになりました。

「あれ……嘘…」

何度見ても、火災で全焼したはずなのに、湖に面した1階の窓に白いカーテンがかかっていて、その白いカーテンが風に揺れてゆっくりと靡いているのです。

「カーテンが…」
「いやぁぁぁぁぁぁ。」

今度はB子が叫びました!

「落ち着いて!」
「もう、いや!だから、私は行きたくないって言ったのに!!」

B子は泣き出してしまいました。
前を見ると、林道の出口が見えてきました。

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