奇々怪々 お知らせ

心霊

キミ・ナンヤネンさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

連続写真
短編 2022/07/10 01:46 1,918view

6年生の娘の親友Rちゃんが、夏休みに交通事故で亡くなった。

娘は2学期になっても学校に行けないほどのショックを受けたが、何とか言い聞かせ、先生の説得もあって学校に行けるようになった。

学校に行けば別の友人たちと遊んだり、クラブ活動などもあって、徐々に元の娘の姿へ戻っていった。

その頃になると秋の運動会の練習が始まるのだが、一つ問題があった。

この学校の運動会では、6年生が男女それぞれ4人ずつで走るクラス代表リレーというものがある。

亡くなったRちゃんは足が速く、この4人に入るのはほぼ決まっていたが、その代わりを誰にするのか決まっていなかった。

結局、5番目に足が速い娘がRちゃんの代わりにメンバーに選ばれた。

クラス対抗リレーは運動会のメインイベントで、それに選ばれるのはちょっとした栄誉と言っていい。

私は娘の活躍を記録に残そうと、一眼レフのカメラとレンズを夫から借りる事にした。

前にそのカメラを借りた事があって、操作方法は大体わかっていた。

運動会当日になり、低学年のかけっこでカメラの練習をしてみると、なかなかいいタイミングで撮れない事がわかった。

そこで、1秒で10コマ撮影できるという連射機能を使い、「数打ちゃ当たる」作戦を取る事にした。

娘をを撮影するには、スタート位置を正面から捉える場所がといいと聞いていた。

娘が出るリレーの前の競技が終わる頃に撮影場所を探すと、直線からカーブに差し掛かる位置を確保できた。

この場所なら他の人とお互いに邪魔をせず、カメラの手振れなどを気にしないで撮影できそうだった。

いよいよリレーが始まり、第1走者である娘を撮影するのに集中した。

パアン!

乾いたピストルの音が響き、私はズームを使ってファインダーの中の娘の大きさを調整しながらシャッターを押し続けた。

娘はうまくスタートダッシュを決め、2位にかなりの差を付けてカーブを走り抜けた。

娘が後姿になるタイミングで撮影をやめたが、娘のスタートダッシュが効いて、そのまま1位で優勝できた。

応援テントに戻り、カメラの液晶で撮影した50枚ほどの画像を見ると、どれもきれいにうまく撮れていた。

ただ、娘の体が2重に見えるような画像が何枚かあった。

ピントは娘にしっかりと合っているから、その時は光の具合か何かだろうと思っていた。

娘が家に帰ってくると、当然運動会の話になった。

「それにしても、あのスタートダッシュすごかったね。」

と娘に言うと、

「いつもはあんなに速く走れないのに、まるで誰かに引っ張ってもらったみたいだった。」

「そんな事もあるのね…。ああ、そうそう、その写真を撮ってたよ。」

「見せて見せて!」

と娘が言うので、リビングにパソコンを持ってきてSDカードを挿し、二人で見始めた。

1/2
コメント(1)
  • いい話しです。

    2022/07/10/21:31

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。