私はいわゆる見える人だ
駅のホームや街中の道路や学校の校庭
色々な場所で幽霊が見えてしまう
彼らのほとんどは、自分が死んでいることに気づいていない
生前の行動を繰り返している
死ぬ直前で散歩をしていた人は幽霊になっても散歩を続ける
死ぬ直前で会社に向かっていた人は幽霊になっても会社に行こうとして電車に乗る
ただ、幽霊になった自分を周りのほとんどの人が気付いてくれないので、戸惑うことになる
何故、誰も自分に気づいてくれないのだろう
そう思ってさまようのだ
幽霊は他の幽霊を見ることもできない
幽霊とは孤独なのだ
なので、幽霊が見えてしまう人は絶対に反応してはいけない
やっと自分のことを認識してくれる人がいたと思って、付き纏われてしまうからだ
私も一度うっかり反応してしまって、かなり苦労したことがある
本当にどこまでもしつこく絡んでくるのだ
そういう時はちゃんとした方法で無視をしなくちゃいけない
ただ無視をすればいいというわけではない
若干反応することで、一瞬だけ波長があって見えただけで基本的には見えないのだと思わせる必要がある
下手に無視するだけでは怒りを買うかもしれないし、とにかく面倒なのだ
あちらはずっと無視されているような状態なので、同情する気持ちがわいてくるのはわかるけど、幽霊に対して何らかの対抗手段がない限り、非情に徹するべきだ
ただ見えるだけの人に何もできることはない
見える人ってのは本当に見えるだけで、ただただ怖い思いをするだけの不平等な存在なのである
だが、世の中には見える人になりたいという人たちがいる
まあ、ただそう思うだけならいいんだけど、自分は見える人と騙る人もいる
見えやしないのに、廃学校の教室に子供が見えるだとか、駅の線路に上半身だけの女性が見えるだとか
そういうエセ霊能力者だ
だけど、やめておいた方がいい
さっきも言った通り、幽霊になった者は孤独にずっとさまよっている
下手をすれば何十年も
適当にあっちに幽霊がいるって言って、本当にいたらどうなるか
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