大丈夫、1人じゃないから

私が看護師としてある病院に勤務していた時の話です。

老若男女たくさんの患者さんが入院していて、毎日手術をするような大きな病院だったため、いつもパタパタと忙しい職場でした。

夜勤の日は１０人前後の患者さんを1人でみないといけなくて、その日も手術が終わった患者さんのお世話などに追われていました。

受け持ちの1人に５歳の男の子がいて、原則個室の利用でご家族が一緒に付き添うルールなのですが、その日はお仕事の関係でお母さんが留守だったためその子のお部屋にも頻回に見回りに行って声をかけていました。

夜ご飯配膳の時間になってもお母さんが来院されないので、男の子に「お母さん遅いね。さみしいね」と声をかけました。

男の子は「大丈夫だよ！お姉さんがいるから」と。

私は「またお姉さん来るね〜何かあったらナースコールで呼んでね」と言って退室。

その後しばらくしてもお母さんが来ないので「お部屋一人ぼっちだから、ナースステーションでお母さん一緒に待とうか」と声をかけると

男の子「大丈夫！1人じゃないから！」

私は「ん〜？」と聞き返すと、男の子は「ほら！」と部屋の隅にある洗面所付近を指差して「あそこにおねえさんが一緒にいるから大丈夫」と。

お母さんや他の家族は来院していないので、もちろん部屋には男の子と私と2人きりのはず。

その後お母さんが来院されたのですが、お母さんにはそのことは伝えていません。

よく看護師の間では噂されるのですが、やはり子供には大人には見えないものが見えているようです。