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不思議体験

キミ・ナンヤネンさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

林間学校
短編 2022/06/19 02:02 2,529view
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僕が小学生の時の、いわゆる「林間学校」に行った時の話だ。

この小学校では6年生になると、1泊2日でとある山間にある「〇〇少年自然の家」に行くという行事があった。

キャンプ場で夕食のカレーを作り、食べ終わった後はキャンプファイヤーで盛り上がった。

問題はその後だった。

先生の説明だと、キャンプ場から宿舎まではおよそ300メートルの上り坂になっているらしい。

実は、スケジュールにはそう書いてはいなかったが、その坂道は事実上の「肝試し」のコースになっている。

兄から聞いた通り、出席番号順に二人ずつペアになって、持参した懐中電灯を持って宿舎まで歩いて行くという内容だ。

「肝試し」とはいうものの、誰かが生徒を怖がらせたり、お化けのまねごとをするわけではない。

街灯も無い暗い一本道を二人でただ歩くだけなのだ。

しかし、それが妙に怖いと言う生徒が多いと兄から聞いていた。

生徒が道に迷ったり、何かトラブルがあってもいいように、6人の先生がほぼ等間隔に道端に立っているという。

出発は出席番号順だから、名前がWの僕は一番最後になる。

クラスの人数は奇数だから、僕は最後に一人で出発することになった。

そんな時はひとつ前の二人組に入って3人組にしてくれるはずが、担任はそうはしてくれなかった。

最後に出発する僕の少し後ろから、立っているT先生が付いて来てくれる事になっているからだ。

いよいよ僕の番になったが、前の二人が50メートルほど先の右カーブを通り過ぎて見えなくなるまで待たないといけない。

体の大きい僕は、怖がるような性格には見えないらしいが、内心かなりビビりながらスタートした。

懐中電灯を左右に照らしながら、その一本道を歩いていく。

カーブの手前には先生が一人立っていて、意外に怖くなく、軽く会釈をする余裕さえあった。

カーブを曲がると、右側には登れないほどの急斜面で、左側にはガードレールがあり、その奥はたくさんの木が生い茂っていた。

ガードレール沿いに歩くと、その外側に先生が一人立っていた。

暗いせいでその顔が見えなくて、その先生が誰なのか、はっきりと分からなかった。

僕は学校の先生の名前や顔を全員知ってるわけではないから、知らない先生なのかもしれない。

その先生は、ガードレールの切れ目に立っていて、ちょうどそこには獣道があり、人が入っていけそうな感じだった。

僕は何となくその獣道が気になり、ガードレールの切れ目へと歩いて行った。

ついでに、その先生が誰なのか確認しようと気になって仕方が無かった。

その先生は、おいでおいでと手招きをしていたから、それに従って僕はその獣道に向かった。

獣道に2~3歩踏み込むと、

「おい!W!」

と呼ばれ、肩を強い力で掴まれた。

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コメント(1)
  • 林間学校で肝試しなんて今はやらないんだろうね

    2022/07/04/11:02

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