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妖怪・風習・伝奇

細雪さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

校庭の男の子
短編 2022/06/13 02:30 1,239view
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これは大学生二年生の部活の夏合宿で東京の某島へいった時の話です。

その島では地域活性の取り組みとして、廃校になった小学校を長期休暇の際に、合宿場として提供しており、そちらで毎年合宿をするのが部活の恒例となってました。

廃校といえども、とても綺麗に手入れされていて、夏祭りが校庭で行われていました。ただ不思議なのが校庭の真ん中に夏祭り用のやぐらがあって、少しはなれたところに1つだけイスが置かれていることでした。

そのイスは小学校が廃校になる前に在籍していた男の子のものらしく、卒業する前に無念の死を遂げてしまったことから、夏祭りを一緒に楽しめるようにと置いているそうです。そのイスに夜中、子供が座っている目撃情報も度々あるそうです。その話をきいて、自分達はけっして怖いと思うことなく、むしろ学校にお邪魔させてもらうね、一緒に楽しもうねと思いました。

そして合宿も終わりを迎えた頃にちょうど夏祭りが開催され、地元の方に混ざりとても楽しい時間を過ごしました。そしてお祭りも終わり、片付けを手伝っているときに後輩の子が校庭のイスを倒してしまいました。その時は特になんともなかったものの少し怖かったので翌朝に戻そうと思い、そのまま後にしたそうです。

何も知らなかった自分は同期と星をみようと校庭にでていきました。そしてやぐらの前で倒れているイスをみつけて、直さないと可哀想じゃん、などと軽口を叩いていました。そんなこんなで、じゃんけんで負けてイスを直すことになりました。その時点ではなんともなく、仕方ないなといった感じでした。

しかし、イスまであと5メートルくらいになったときに、違和感を覚えました。空気が重く、やぐらに引っ張られているような感じです。曰くがあるのはイスのはずなのに、なぜかやぐらから嫌な感じがしたのです。一歩進む毎に足取りが重くなっていくなか、なんとかイスにたどり着き、イスを元に戻しました。それでも嫌な感じはなくなりませんでした。

急いで帰ろうと振り向いたときに、やぐらの中段あたりで黒い人影と目が合いました。黒い塊なのに眼があってる感じがして、眼が離せないまま後ずさりすることしかできませんでした。なんとか5メートルほど離れたときにふと体が軽くなり、そこからは同期のもとまで本気で走りました。怖い体験としては以上です。

しかし、イスに座っているとされる男の子は本当に夏祭りを楽しんで座っているのでしょうか。

やぐらに棲み付く何かに縛られているのではないでしょうか?

成仏したくてもできない、誰も助けてくれない。そう思えて仕方がありません。

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