不思議に揺れるおたま

小学校５年生の頃です。

私はキッチンで料理をする母の隣で話をすることが日課でした。

ある日、いつものようにキッチンでテレビで観て知った何年も前に亡くなった歌手の方の話をしていると、母が、「地震？」と言い出しました。

母の視線の先を見ると、壁にかけられたおたまがゆらゆらと小刻みに揺れているのです。

しばらく見ていましたが、止まりません。でも地震の揺れは感じられなかったのでそのまま続きを話し出しましたが、しばらくして母が、まだ揺れていると怖がるのです。

見ると、先程と変わらずゆらゆらと一定のペースで揺れています。うちのキッチンは風の通り道になるような場所ではありません。2〜3分は揺れていたでしょうか。怖くなった私は、手で止めることにしました。

手で止めると揺れは収まり、ピタリと動かなくなりました。なんだったんだろうね？と言いながらも、私はおたまに視線を向けながら、またその歌手の話に戻りました。すると、その話を始めた途端、おたまはゆっくりゆらゆらと左右に小刻みに揺れ始め、揺れは次第に強くなりました。流石に怖いと思った私たちは、手で揺れを止め、話を変えました。

その後、おたまは少しも揺れることはありませんでした。

実家には昔からたまに何をするでもない霊が遊びに来ていたので、もしかしたらうちに住みついている霊が、その人のファンだったのかもしれませんね。