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不思議体験

夏臨さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

夢と一緒だ、、、
長編 2022/05/23 19:40 971view

私の不思議な体験、それは夢です。眠っている時に見るあの゛夢゛のことです。私は正夢をよく見ます。正夢とは夢で見たことが現実に起こることですよね。

私は正夢をよく見ます。その正夢の内容は決まって私自身にまつわる夢です。そしてその夢は必ず私の人生の分岐点に関係する夢なのです。

正夢を最初に見たのは小学校低学年の頃でした。この時、はじめて見た正夢はまだ、たわいもない夢です。車の中から見知らぬ土地の風景を眺めているというものでした。この夢が現実になったのは家族旅行でした。旅行中、父の車の中から外の景色を眺めて「この風景このまえ夢で見たな」という軽いものでした。

次に正夢を観たのは高校生の時でした。東京の大学を受験して都内で一人暮らしをはじめる為に部屋を探そうということになり大学に近い新宿駅に父と2人で出かけました。まだインターネットや携帯電話が普及していない時代、私と父は新宿をふらふら歩き不動産屋さんを探しました。

とある雑居ビルの2階にお店を見つけ物件を探すと、新築で安い部屋を見つけることができました。不動産屋さんの説明では、その部屋が安い理由は新宿から離れており東京23区の外、保谷市に位置しているから、というものです。田舎者の私はその時初めて「へーっ、東京って23区だけじゃないんだ」と思ったものです。

不動産屋さんの職員さんの案内で、西武新宿線に乗ること30分、とある駅で降りました。

改札を抜けたその時です、「あれ?ここ知ってるな。確かここを右方向線路に沿って歩いてしばらくすると小さい個人商店があるからそれを通り過ぎた先の路地を左折して、ひらけた通りに出たら、左手の本屋の先の青い建物の一階部分が半地下になってて階段降りたら最初の部屋が俺の部屋っじゃないか!!!?」と心の中で叫びました。

ここ初めて来たよね、と父に聞くと「うん」と返事が返ってきました。「でも俺知っているんだこの場所、夢で見たんだよ!」というと「ああそうか正夢か、はっはっはっ」と父は笑いました。

不動産屋さんはここに来たのは初めてらしく店長から渡された手書きの地図を手に持っています。まあぁでも、とにかく歩いてみれば解ることだと3人で歩き始めました。

私は2人に部屋までの道のりの特徴を話しました。私は先頭を歩き、部屋までの道順を「こっちでしょ」と指さしながら、個人商店を通り過ぎて左折するころには、最初は信じていなかった2人も「まさか!?」という表情になっていました。

この先の通りを左に曲がって本屋があって、青い建物ならいよいよ間違いないな、という気持ちで3人並んで路地から通りに出ると「わーっすごい!その通りだっ!」と不動産屋さんが声をあげました。

アパートを確認するとやはり一階は半地下になっており階段を降りたすぐの部屋でした。

すべて私の説明通りだったので私も含めて3人ともひどく驚きました。私はこの部屋までの道のりを夢で見ていたことに対し何か不思議なメッセージか、それとも運命なのかもしれないと思い、このあと見る予定だった物件をキャンセルしてこの部屋に決めました。

地元の高校から東京の大学で一人暮らし、という学生の私にっとて大きな分岐点に関する正夢でした。

このように、私はいままで、人生の分岐点で数度の正夢を見ています。そのうちの2回は仕事に関するものでした。そしてその内容はいつも具体的です

就職に関する正夢では職場で同僚と働いている光景を就職の3か月前に見ました。

それは、同僚たちと席に座って仕事をするという夢でした。ある日、私たち新入社員が入社したのでデスクを移動しようということになりました。新しい席に全員が腰かけたときに思い出しました。「この光景夢に見たなぁ。席の配置や座る人まで夢の内容と一緒だ。同僚たちの顔も何となく見たことあるなって思ってたけど夢の中で出会っていたのかぁ」と、不思議な気持ちになりました。

今回は人物の顔まで覚えていたのです。ですが、同僚たちとは入社した際が初対面です。私は同僚たちの顔を夢で見ていたことになりますが、そんなことは普段の生活では忘れていました。夢と同じ状況になるまで思い出せませんでした。

「なぜ正夢を見るのだろう?これって自分の人生はあらかじめ決められているってこと?」そう思うと頑張っても仕方ないな、という喪失感に襲われます。しかしすぐに「いやいや、夢がたまたま似てただけ」と思い直すことにしています。そうしないとやってられない気持ちになるからです。

しかし、転職の際に見た正夢は私にとって悪夢でした。その正夢の後私の人生は転落していき心身ともに苦しい生活をおくることになるからです。

あれは私は当時30代前半、仕事は正社員で順調な日々を送っていましたが、自営業の親の仕事がうまく行かず私も会社を辞めて親の仕事の手伝いをすることになりました。

私の貯金も事業につぎ込み、家族みんなで傾いた事業を立て直そうと必死でした。しかし、とうとう資金が底をついてしまいました。食事も満足にとれないほど生活が苦しくなったころ、私は生活費の足しになればと思いアルバイトを始めました。

工場のライン作業です。アルバイト当日、私は正社員で働いていたころのことを思いだし、激しい怒りと悔しさに襲われながら、そんな気持ちをぐっと抑えて黙々と作業に取り組んでいました。

作業は簡単で流れてきた商品を箱に詰めるという単純な流れ作業です。数時間が経ち新しい人が作業に加わりました。

その人が私より5メートルほど先の配置に着いて作業開始からしばらくすると私は、あることを思い出して、はっ!としました。「うわっ!、この人、流れ作業止めて商品が山積みになって現場担当者にすごく怒られるんだ」と思ったら次の瞬間、ドドドドドッッッ!と商品が山積みになり、機械停止のサイレンと共に担当者が飛んできて、その作業員を大声で怒鳴りはじめました。

その光景を目にした私は「夢と一緒だ、、、」と喪失感でいっぱいになりました。会社員時代にこの光景を夢で見ていたのです。朝起きて「変な夢見たな」と感じたことも思い出しました。

胸が張り裂けそうでした。いくら努力しても「こんな人生か」そう思うと立っているのがやっとでした。

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