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心霊

左乳譲るさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

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短編 2022/05/19 11:51 1,503view
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僕は子供の頃だけ人には見えないモノが見えていました。勿論、自分では覚えていないことが多く今からする話も親から聞いた話になっています。

これは僕が3歳の頃の話です。
その頃はまだ妹が産まれて間も無く、家族4人でアパートに暮らしていました。この頃は母の友達(仮にAさんとします)がアパートに遊びにくることが多く、人見知りだった当時の僕も、インターホンが鳴るとAさんを玄関までお出迎えする程打ち解けていたそうです。

その日も、インターホンが鳴りAさんが遊びに来ました。
僕は妹を抱く母と共に玄関までお出迎えしましたが、ドアが開きAさんの姿が露わになると同時に、母の後ろに隠れるようにして怖がる素振りを見せたそうです。

母「どうしたの?」
A「ほーんと!いつもなら抱きついてくるのに、どうしたの?」
と言う質問に対し僕は
僕「そのおばちゃん誰?」
と、Aさんの後を指差して言いました。

この時の事を今でもAさんと母は、ゾッとした
と語っています。

何にもいないよ、とその場をうまくまとめた母とAさん。
その後は何事もなく3人でティータイムを終え、怖がっていた僕もお土産にもらったオモチャに夢中でいつもの雰囲気を取り戻していました。
帰り際、Aさんが母に向かって
「(僕の名前)〇〇くんと写真撮ってよ」
と僕を抱き抱えながら提案。
母は頷き、当時あったインスタントカメラでシャッターを切りました。

その時撮った写真に、僕とAさんの満面の笑み、そして知らないお婆さんの何か叫んでいるような白い顔と、小さい子供のような顔が写り込んでいました。現像した母は、すぐにAさんに連絡。特に何も悪いことは起こっていないとのことでした。ただ、写真が自宅を写していることに気味が悪くなり、知り合いの紹介で霊媒師さんに相談したそうです。(母は幼少の頃に見えすぎていて、見えないようにセーブしていた結果気がつかなかったのでは?と言ってました)

霊媒師さんが自宅に来られると、すぐに部屋の隅を差し、

「あそこにお婆さんがいます。少し時間がかかるかもしれないけど、出て行ってもらいましょうか」と言ったそうです。
結果この件はお祓いと写真のお焚き上げ供養により事なきを得、1年後にはこのアパートから二階のある戸建てに引っ越しました。

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

僕は歳を重ねるにつれ、霊感がなくなっていったのか、見える事自体がなくなり、たまに声が聞こえたり金縛りにあったりするくらいでした。

ちょうど1年前の夜、今の職場を辞めて新しい病院へ就職するため、実家の1階で母と話をしながら面接用のエントリーシートを作っていました。そのエントリーシートも証明写真を貼る作業に差し掛かっていました。

「確か証明写真は家族用の棚の、僕の引き出しの中にあったはず…」

無意識に考えていたと思います。
僕の家には2階に家族それぞれの物がしまってある棚があり、僕はそこの引き出しに印鑑や通帳など大切なものをしまっていました。

階段を登り寝室を通って棚のある部屋に到着。部屋が薄暗かったため、明かりをつけました。引き出しを開けるとそこには綺麗に整理された私物の上に覆いかぶさる様に、一枚写真が置かれていました。僕が小さい頃の写真。手に取ってよく見ると若い頃のAさんが写ってる…と、ここで「そうかあの写真か」とすぐ気付きました。母には昔こんな事があった、と聞かされていたからです。そこにはお婆さんの顔と子供の顔が、少し透けたような感じで写っているのも確認できました。

「なんだ、あんじゃんこの写真」と思いましたが、よく考えると薄暗い部屋で1人、心霊写真を手に取り見ていると言う行為が客観的に考えて怖い事だと思い、僕はその写真をそのまま引き出しにしまいました。証明写真を手にとって部屋の明かりを消し、部屋を出ようと背を向けた瞬間やはり怖いと感じる。誰かの顔が見えるまで、あの写真が脳裏にチラついて怖くなるため、どんどん足速になり、階段は大きな音を立てて駆け降りました。

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