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不思議体験

蝦ちゃんさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

神仏に呼ばれた弟
長編 2022/05/21 13:24 7,536view
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2階には、写経が出来る空間があり、人の姿はまったくありません。
その日は写経の体験もしておらず、そしてお金を払わなければならないので、お金を持っていない弟はそこに入れないと思っていました。
両親も、そんな2階には来れないだろうと私の言葉を疑っていましたが、それでも上階にはいなかったので探すしか無い、と探し回っていました。
この階から出てはいけない、待ち合わせはエレベーターの前だと約束をして、私はすぐに弟を探すために歩き回りました。
少し薄暗い空間で、正直とても怖くて、こんな場所を一人で弟が歩いたなんて、正直考えられませんでした。
でも、この道を確かに弟が通った気がしたのです。
私が姉だからなのか、思考回路が似ているからなのか、はたまた何かに引き寄せられているのか、そんな気持ちのままで2階をぐんぐん進みます。
両親は、そんな奥の方までは行かないはずだと言っていましたが、私はこっちにいるだろうと不思議すぎるくらいに確信していました。
早く行かなければ、早くしなければとせっつかれるまま、薄暗い空間を進みます。
しかし走り回ることは出来ないので早歩きになりながら、少し小さい声で弟の名前を呼んで探していると、ふと横目に小さい子が座っているのを見つけました。

弟は、当日黒い服パーカーのような服を着ていて、その色と胸元のロゴが見えた気がしたのです。
もしかしたら、と思いそちらを見ると、やはり弟でした。
弟が、写経を書いたりする広い空間で、正座をしながらじっと目を閉じているのです。
上から淡いオレンジ色の電灯が弟の頭上から降り注ぎ、そこだけ異様なといいますか、神秘的な空間になっていました。
もしかしたらこのままにしないといけない、そんな気分にもなります。
ぼうっと見ていた私だったのですが、はっと我に返りました。
そうだ、弟を家に連れて帰らないといけない、そう思ったのです。
正直、どうして連れて帰らないといけない、とあんなに焦ったのかは分かりませんでした。
でも、そうしなければいけない気がしたのです。
私はすぐさま弟の手をぐっと掴み、引き寄せました。

「何してるの!」
私の声で、弟が目を開いて、にっこり笑って言ったんです。
「観音様に呼ばれたから、瞑想してた」
少し、いえかなりぞっとしました。
その後は、両親が弟を抱き締めたまま泣く私を見つけて、懇々とお説教です。
でも、お説教よりも、観音様が大事な弟を持って行ってしまうんじゃないか、そっちの方が怖くて涙が止まりませんでした。
両親も、弟が何をしていたのかを聞いて、ぞっとしたような顔をしていたので、同じ事を考えたのだと思います。
そのまま私たちは、逃げるようにそこから車に戻り、出発しました。
多分、2時間もいなかったと思います。
途中でパーキングに寄り、弟から観音様への意識を逸らさなければいけないとばかりに遊び回り、そして帰路につきました。

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コメント(2)
  • 牛久大仏って中は鉄骨でエレベーターがあり、銅板は数ミリなんだそうな。
    ちゃんと溶接されてるのか気になる。

    2022/05/26/21:01
  • ハポラトル

    2023/10/13/23:34

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