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心霊

すだれさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

受話器の向こうの声
長編 2022/05/15 22:00 844view
もう随分と昔、自分が子供だった頃の話だ。
自分の周りには「そういう存在」が見えたり、聞こえたりする人間が多かった。血筋も関係しているらしく、母と兄も俗にいう「見える人」だった。その母に常から「そういう存在」への対処法…といっても、「深入りするな」に尽きるのだが、色々と話を聞いていた。そのおかげか、友人の中に稀にいた「見える人」に対しても怖がったり気味悪がったりというのはなかった。しいて言えば好奇心が強くて度々諌められたくらいだ。心外にも見える友人からは「変なヤツ」と言われていた。

隣の市にダムが建設されて数年後、子供たちの間でとある噂が立った。
「ある電話番号に電話をかけると、ダムに沈んだ町に繋がる」
「町に取り残されたままダムの底に沈んだ母と赤ん坊の幽霊と電話ができる」
冷静に考えればありえない話だが、数か月前にダムと繋がる川付近で女性と乳児の遺体が発見されたことから、子供たちの中では真剣に広まっていった。
しまいに
「電話で母子と会話すると幽霊を呼び寄せてしまい、呪われる」
「電話線を伝って家までやってきて、使った電話は呪われてしまう」
なんて尾びれ背びれがつき始め、一部の悪ガキたちの間では度胸試しに電話するのも流行ってたらしい。
筆者自身も気にはなっていたが母に詳しく話す前に「うちの電話をろくでもないことに使ったら叩き出す」と言われ、遂に家で試す機会はなかった。

それから数日後の下校時、路肩の電話ボックス辺りから大声が聞こえた。
何事だ、と向くと、そこには自分を「変なヤツ」呼ばわりしてきた見える友人とクラスメイト数名。
友人は取り乱した様子で、外れてだらりと垂れてしまっている電話の受話器を触らせないようにしている。周囲のクラスメイト達は友人の様子に気圧され困惑した様子だった。

「肝試しだよ肝試し!ほんの冗談のつもりで…」
「こいつ「見える」らしいじゃん?あのダムに電話させたら何か聞こえるかもって…」

バツが悪そうなクラスメイトが言うには、例の電話番号で度胸試しをしようという話にはなったが、霊感のある友人が聞いたらどうなるのだろうと思い、何も知らせず受話器を握らせたらしい。
電話がどこに繋がってるのかもわかってなかった友人が「もしもし?」と普通に受け答えをしようとすると、突然叫びながら受話器を放り投げた。その後怯えるようにクラスメイトたちを受話器から遠ざけようとしたところで、自分が駆けつけたのだと。

「いいか!この電話番号二度とかけるな!絶対だぞ!おれは言ったからな!!かけてどうなっても知らないからな!!」

友人のあまりの剣幕にクラスメイトたちは後ずさりながらバタバタと逃げていった。
これは後々どんな効果が出るか…抑止力になるか面白がって電話をしようとするものが増えるか…
そんなことを考えてるとブランと垂れさがった受話器が目に付く。
クラスメイト達は自分たちの家の電話が呪われないようにと考え、電話ボックスを使おうとしたのだろう。

「君は何か聞いたのか?」
「……」

友人は答えなかったが、無言は肯定だろう。彼は確かに聞いたのだ。
受話器の向こうの存在の声を。
電話ボックスだからもうすぐ切れるが、まだ繋がってる。
受話器を手に取った。

「お前はこわくないの」
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